ジンジン
ニャバーランドのみんなが帰ってしまって、すっかり淋しくなっちゃった僕
8月15日
みんなで散歩に行った日
僕らは《パパ・ジョン ブリアン》のことと、《みこちゃん》のことを魔女に報告した
そしてその前には《凜》のことも報告していた
魔女はその全部に驚いて
翌日僕たちと一緒に猫のお姉さんの家があったところへ行った
そこに住んでいたのは猫好きのお姉さんで
賑やかな僕らの散歩の様子を聞きつけては外に出て来た
そして一列縦隊で歩く僕らを見て嬉しそうにした
その家のお隣には犬好きの若いおじさんが住んでいて
庭には何匹もの子犬と大きなお母さん犬がいた
僕らが通りかかると、子犬たちは一列に並んで柵の間から鼻先を出した
《ユリぼうず》はいつもその鼻たちに自分の鼻をくっつけて臭いを嗅いでいた
それを見てお母さん犬は飛び上がってはぎゃんぎゃん鳴いて怒っていた
けど、どんなに跳ねても柵を飛び越えることができないのは僕たち猫には一目瞭然で
僕らは道路側で真似して跳ねてみたり、子犬たちにちょいっかいを出しては犬のお母さんを余計に怒らせた
そして、騒ぎを聞きつけた犬の飼い主が家から出てくると、魔女と僕らは一斉に逃げ出したんだ
その両方ともの家がなくなっていた
僕 「・・ね、魔女 空き地になっちゃってるでしょ」
魔女 「またすぐに家が建つんでしょうね・・」
伐 「俺らが子供の頃遊んだ梅林も、丘のてっぺんのテニスコートも、広かった草むらも、そして魔女の家の前の俺らの大きな空き地も 全部なくなっちまったな・・」
水玉 「あの頃は毎日の散歩が楽しくてたまらなかったもんな」
※ 魔女家の前の広い空き地は叔父が所有地していて、自然が大好きな私のために長年空き地のままにしておいてくれた
私は人に追われた猫や、怪我をした猫をそこに連れて来ては面倒を見ていた
しかし叔父が亡くなり、土地は売られ、今ではそこに4軒の家が建てられている
私はこの時初めて、『お金が欲しい』 と思った
魔女 「ノラちゃんたちがどんどん住処を失くしていくね・・」
伐 「俺、やっぱ選挙にりゃっこうほ したかったな・・」
僕 「思い出した! 動物党を作るって言ってたんだよね!」
伐 「そうさ、人間の幸せだけを決められちゃ俺ら動物はたまんねえもんな」
ジョン ブリアン 「例えばさ、家を10造ったら、その近くには同じ広さの分の生きもののための小さな森を残すとか、造るとか決めたたらいいんじゃない?」
伐 「おお、その通りだ! 他にも動物の権利をな、きちんと決めるんだ」
ジョン ブリアン 「・・」
水玉 「どうした?」
ジョン ブリアン 「《伐》!」
伐 「は、はい」
ジョン ブリアン 「どうして・・ どうして りゃっこうほ の前にニャバーランドなんて行っちゃったのさ!」
伐 「・・それは、俺がドジだった・・ っていうか 運命だったっていうか・・」
ジョン ブリアン 「あれは運命じゃない! ただのドジだ!」
伐 「・・それは何か?! 俺を責めているのか? そうやってせっかくお盆に帰って来た俺を責めるんだ、 なら自分が りゃっこうほ しりゃあいいじゃねえかよ!」
僕 「ふたりとも、やめなよ」
水玉 「《ジョン ブリアン》、 あの時は誰よりも《伐》が一番辛かったんだぞ、もう昔の事は話すな、どうしようもない事を言うのはやめろ!」
ジョン ブリアン 「うっ・・ うっ・・ ぅぅっ・・ うわあぁぁぁぁ~ん 」
伐 「おい《水玉》! なんで《ジョン ブリアン》を泣かすんだよっ!」
水玉 「はあ~? 俺のせいかよ!!」
魔女 「やめなさいっ!! なんで思い出話からこうなるの!」
ちょっと喧嘩になっちゃったけど、僕はなんか昔が戻ってきたみたいな気がした
まだみんながいた頃は、こうやってよく喧嘩したな・・
だからこんな言い合いがとっても懐かしい気がした
家に帰って
魔女は口に一本の指をあてて、僕たちに静かにするように合図した
それからトイレのドアを開けてテレビを観る振りをした
僕たちは魔女の側で、体を舐めたり、横になったりして、まったりしてる感じをかもし出した
それから暫くして・・
《凜》が部屋から出て行った
《凜》に付いて行こうとする《バブー》を魔女が止めた
そしてその代わり、《伐》に様子を見に行かせた
じきに《伐》が戻って来て、魔女に知らせた
《インジゴ》が困った顔で魔女を見上げている
魔女はカメラを持ってそお~っと廊下に出て行った
水に夢中で、後ろでフラッシュがたかれているのにも気付かない・・
水が止まってしまうと、またコックをいじって水を出す
猫の手では強く引けないらしく、ちょうど良い水の出加減だ
それとも、もう加減は試し済みなのか・・
魔女の唯一のウィークポイント・・ それは閉所恐怖症
それで魔女は家の窓という窓、ドアというドアを全部開けている
魔女は《伐》に トイレのドアぐらい閉めろ、と説教されていた
魔女
《伐》から話を聞いて、みんなの案内で《みこちゃん》の家にも行って来た
ここで意外なことが判明した
《みこちゃん》の家はアトリエのOBの家だった
この生徒は幼い頃から大学に入るまでアトリエに通ってくれた子だ
そして、この前《みこちゃん》を探しに来たおじさんは彼女の父親だったようだ
さらに驚いたことは、《みこちゃん》は《かねこ》だった!
その意味を書くのが面倒なので、こちらの記事の初めの部分を・・ ★
警告 (最期まで見ちゃうと、魔女のおぞましい顔が出てくるのでご注意ください)
そういえば・・ 遊びに来た《みこちゃん》とお話した時、《かねこ》って言ってた
シクった! あの時気付くべきだった
あの子が《みこちゃん》だったなんて考えもしなかった
《かねこ》ちゃんこと、《みこちゃん》は東京に居るとばかり思っていたんだもの
元生徒のご家族によると、仕事の都合で娘が引っ越した先では猫を飼うことが出来ず
この実家で《みこちゃん》を預かっているとのこと
そして、ここに来てから《みこちゃん》という名になったという
《みこちゃん》は結膜炎だそうです
それで治療中ということで、エリザベスカラーを巻いて家にいるのだそうで・・
みんなでお見舞いを言って帰って来ました
こうして、今回のお盆では、ネバーランド軍団のおかげでいろんな事が判明しました
近々、《パパ・ジョン ブリアン》に・・
これまで・・ 8年半のお話を聞いてみようと思っています