魔女
今朝、雨戸を開けると同時に《みこちゃん》がやって来た
魔女 「《みこちゃん》、お誕生日おめでとうございます!」
みこちゃん 「・・ おたんじょび おめでとうございます ありがとう ございます」
魔女は2階に行って《凜》を外に出した
凜 「《みこちゃん》、おはよう! 上を見てごらん」
出窓とテラスの手すりに乗っかった猫軍団 「《みこちゃん》、お誕生日おめでとう!!」
みこちゃん 「おめでとう・・ ありがとう ございます」
凜 「『ありがとうございます』、だけでいいんだよ」
外階段を降りて来た夜まわり先生の《水玉》 「《みこちゃん》、誕生日おめでとう」
みこちゃん 「ありがとうございます」
魔女 「ちょっと待ってね、今おめでとうのご飯持って来るから」
凜 「わあ~い!!」
魔女 「《凜》はカリカリよ、高級缶詰は昨日食べたでしょ」
凜 「・・」
《みこちゃん》は、時々カリカリを食べる《凜》の方を見ながら高級缶詰を食べてた
それからもう一度顔を上げて2階の軍団を見詰め
《凜》とふたりでよその庭に遊びに行った
《みこちゃん》はぴょんぴょん跳ねながら走って行った
ユリぼうず
面白くもない誕生日がまたやってきた・・
僕は誕生日の度にご機嫌が悪いのね
毎回言ってるけど、僕の誕生日に僕以外の猫が高級缶詰を食べるなんて有り得ないお話でしょう
主役の僕がっ! いつものお薬ご飯・・って
どーゆ-ことですか!
魔女 「《ユリぼうず》、お誕生日おめでとうございます!」
僕 「・・」
魔女 「今年も機嫌が悪いわ・・」
ジンジン 「《ユリぼうず》、自分の体のためでしょ」
水玉 「そうだよ、高級缶詰食べて、またお腹に石が溜まったら困るべ」
僕 「・・」
バブー 「プレジェントあげたらいいんじゃない?」
魔女 「そうだね! 《ユリぼうず》、何が欲しい?」
アゾ 「く、くびわ!」
僕 「やかましいわ!! んなもん自分がしとけや!」
アゾ 「じゃ、じゃんねんじゃがね」
水玉 「何がだよ」
アゾ 「くっ・・ くっびわをした ぶしがどこにおる?」
水玉 「おまえなぁ、そんなにぶし、ぶし、ってこだわるんならよ、武士って字ぐらい覚えろや!」
アゾ 「ほぉ・・ そんな字があったのか・・ みなしゃん、知っとった?」
水玉 「この・・」
ジンジン 「もういいから、今は《ユリぼうず》の誕生日プレジェントの話してるんでしょ」
魔女 「で、《ユリぼうず》、なにがいいの?」
僕 「・・」
魔女 「なんでも言ってごらん」
僕 「・・月」
魔女 「え、なに・・ つき?」
僕 「月 !」
魔女 「んなもん連れて来れないでしょうが!」
僕 「じゃあ、たぬき!」
魔女 「訳のわかんないこと言わない!」
僕 「たぬき ! たぬき!! 」
魔女 「我儘もいい加減にしなさい!」
魔女は怒って行ってしまった
僕は気分が悪いから《ボンネット》がもらったハウスに入ってやった
すると《ボンネット》が 「それは僕のだ!」 と言い出した
はあ~? 丸見えで嫌だと言ったのはどこの《ボンネット》だぁ
それで僕らは大喧嘩になった
お誕生日なんてだいっきらい!
僕はいじけてテリャスに出てじっとした
しばらくしたら魔女がやって来て言った
魔女 「《ユリぼうず》、抱っこ2時間でどう?」
僕 「2時間・・って?」
魔女 「CSI 2回分くらいだよ」 (ドラマ・CSI-科学捜査班)
僕 「・・いいよ」
魔女は僕を抱っこしてテリャスから部屋に入った
それから僕はずっと魔女に抱っこされてた
途中で寝ちゃったりして・・
目を覚まして見上げると、魔女が僕を覗き込んでる
夕食の時間になった
僕 「・・あれ? 高級缶詰じゃないの?」
水玉 「やめたんだ」
僕 「どうして?」
ジンジン 「どうしてもさ」
僕 「僕のおごりなのに?」
水玉 「だっておまえは俺らのおごりを食えねえじゃないか」
僕 「・・」
魔女 「うわあ!」
僕 「魔女、どうしたの?」
魔女 「廊下で・・ タヌキが・・」
僕 「プレジェントのタヌキ?」
魔女 「《パパ・ジョン》の残りご飯食べてる・・」
続きにさせてっ