ボンネット
僕はご機嫌が悪い
《ユリぼうず》には、まさに希望通りのプレリェジェントがやって来たというのに
僕には丸見えのちっちゃなハウスだなんて・・
しかも、こともあろうに(これも《ジョン ブリアン》に教わったひょーげんほーほーなんだよ)
あのでっかいあにさんが、このちっちゃいハウスをお気に召しちゃってるというてーたらくで
日記付き添いのジョン ブリアン 「ていたらく、って言葉をそんなところで使うかな・・」
魔女! 僕にもタヌキをください
いや、《ユリぼうず》はタヌキを貰ってないし
しかもあれはまったくの偶然で、魔女も本当にびっくりしたんだから
《ユリぼうず》の予知能力にびっくりしたんだか
あまりの偶然にびっくりしたんだか
はたまた純粋に子狸さんが家の中にいた事にびっくりしたんだか・・
いったいどれだか分かんないけどさぁ
あぁ、コタツが恋しい・・
なんだよ
この丸見えでシーシュルゥなテーブルは (あの・・言葉が重複してますが)
(なによ・・ 今までだってコタツの中で散々嗅いできたじゃない)
僕がコタツ!コタツ!というものだから
きっと気を紛らわせようとか、ごまかそうとかいう気持ちからなんだろうね
魔女がテレビをつけて
僕好みの映画をみせてあげる、っていうんだ
そんな手には乗らないよ
僕が興味があるのはコタツなんだから
それでも魔女は、ほらほら・・ とか言いながらテレビをつけた
南極物語・・ (アメリカ版 『Eight Below』 )
かわいそうじゃないかあ~~
なんで犬にこんな苦労させるんだよお~!!
こんなのありえない!
これじゃ今の僕と同じじゃないか! (え・・どこが?)
僕 「魔女!」
魔女 「は、はい」
僕 「これはひどすぎるよ」
魔女 「ほ、ほんとうに、ひどいよね」
水玉 「誕生日プレゼントとしてはかなり不適切な映画だな」
魔女 「魔女もこういうのは苦手なんだよ、でも犬が出てくるから気分転換になるかな、って・・」
水玉 「はあ~? 気分転換どころか、《ボンネット》は気分最悪になっちゃってるぞ!」
魔女 「・・」
僕 「ひどいよ ひどいよお」
魔女 「まあ・・ あれだ」
水玉 「こいつ、言い訳するぞ・・」
魔女 「あのかわいそう過ぎる犬さんたちに比べたら・・ 《ボンネット》なんて幸せじゃん、 南極に置き去りにされたわけじゃないんだから」
僕 「」