世界で最も不幸な女 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

水玉


まじょねこ日記-Mizutama
          あのバカ女には今日も参ったぞ・・


今朝、魔女は仕事のことで出かけなければならなかった

だのに寝坊して、ジタバタしながら出かけた


お日様てっぺん近くになって帰って来た魔女は

ものすごく元気がなくて

部屋に入ってもため息をつくばかりだ


俺 「どうしたんだよ・・」


魔女 「私は世界で最も不幸な女だ・・」


俺 「仕事・・上手くいかなかったのか?」


魔女 「私のことはもうほっといてくれ!!」


俺 (またキレた・・)


           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  

俺 「魔女がえらく落ち込んで帰って来たぞ」


バブー 「見て・・ 部屋の隅でいじけてるよ」


ボンネット 「いったい何があっただろうね・・」


アゾ 「そ、そんなもん まじょに 聞いてみりゃ ええだろう」


その後、誰が聞きに行くかでモメた

じゃんけんをしようにも、俺らはパーとグーしかできねえ


そうか・・ パーとグーだけでもいいんだ!


それで、負けたヤツが聞きに行くことになって

こともあろうに・・

《アゾ》が負けた


アゾ 「い、行ってくる」


 「待てぃ!」


アゾ 「な、なんじゃ・・」


俺 「みんな、本当に《アゾ》でいいのか・・」


ジンジン 「良くない・・と、思う」


凜 「どうして《アゾ》じゃダメなの?」


俺 「考えても見ろよ、魔女に聞いた話をちゃんと俺らに伝えられると思うか?」


軍団 「・・」


俺 「最初に聞いたことを何人もが順に聞いていくと、最初の話と最後の話は全然違ってる、ってこの前テレビでやってたぞ」


ボンネット 「だから?」


俺 「つまりよ、最初の魔女と、最後の《アゾ》の間に、ここの家族、近所の猫、俺らの日記を読んでくれてる人たちの家族の猫達、ぜ~んぶが入ってひとりずつ話を伝えていくるわけだ、 そりゃあもう終いにゃ話もめちゃくちゃ食い違うべ」


バブー 「それはそうだ・・」


俺 「その全員分をな、《アゾ》はたった一人でやってのけるんだぞ」


凜 「わあ! すごぉ~い!」


ジンジン 「・・やっぱ、《アゾ》はやめよう」


この後、さらにモメて

結局、みんなで聞くことになった


          ・・・・・・・・・・・・・・・・・


世界一不幸な女の話はこういうことだった


今朝、魔女はお仕事を頼んできた社長さんと会った

その人は、「まあ、お茶でも飲みながら話しましょう」 と言って

近くの高級なお茶飲み場(コーヒーショップ)に魔女を連れて行った


そこで・・ つまり暖かい店の中で

ケーキとかも食べながら仕事の話を進めた


話の途中


社長 「魔女さんさぁ、暑くないの?」


魔女 「暑くない・・」


社長 「暑いでしょう」


魔女 「暑くない」


社長 「ふつうね、こういった店の中ではコートを脱ぐでしょ・・」


魔女 「脱がない」


社長 「そんな分厚いコート着て、コーヒー・・ 飲みにくいでしょう」


魔女 「飲みにくくない」


社長 「ケーキのクリームだって袖にべっとり付いちゃってるよ」


魔女 「ぁ・・」 


社長 「室内ではコートを脱ぐものだよ」


魔女 「・・」


社長 「風邪でもひいてるの?」


魔女 「ひいてない」


社長 「礼儀がなってないんじゃないですか?」


魔女 「そんなことないです」


社長 「じゃあ客の前でコート姿のままって、どういうつもりなんだ!」


魔女 「・・」


社長 「いったいどういうことなんだ、って聞いているんですよ!」


魔女 「こういうことだよ!」


社長 「・・!!」


魔女 「これでも私は礼儀知らずですか!」


社長 「コ、コートを・・ 着てください!!」


前にも書いたと思うが

ぐうなたらなこの女は

冬の服を出すのが面倒くさいのか、ひょっとしたらそんなもの持ってないのか・・


外に出る時は一年中ジーンズとタンクトッピュ、またはキャミショールの上にコートを着て行く

あらかじめコートを脱ぐと分かっていれば、何とかテキトーなシャツとかを着て行くみたいなんだけどね


今朝は寝坊して時間がなかった上、コートを脱ぐようなシチュエーションはない、と踏んだんだろうね


コートの下はキャミショールで・・


そりゃ脱げないよね

ほんとうにこのバカ女を外に出すのは  俺ら・・ 恥ずかしく


俺 「それで仕事はもらったのかよ・・」


魔女 「わかんない・・ 後で連絡するって  たぶんダメ・・」


それから電話は掛かってきてない


昨日は世界で一番幸せな女だったのが

今日は世界で一番不幸な女になった


日記だって、俺が日記を言う猫の席で待ってるっていうのによ

魔女が落ち込んでグズグズだったから・・ 

こんな時間になっちまったじゃねえか


こんな浮き沈みの激しいヤツと一緒に暮らすなんて・・

俺らの身だって持たねえよ