ジョン ブリアン
マーキングが趣味の男、それは《ユリぼうず》
魔女は一日中雑巾を持って《ユリのぼうず》の後始末だ
僕らだって《ユリぼうず》のマーキングにはうんざりしていて・・
そんな昨日、さらに増長した《ユリぼうず》が、《今日ちゃん》のお花(月下美人)に向かって、側にある椅子の上からシャンシャンとおしっこをひっかけていた
そして・・
ついに魔女がキレた
「このぉ・・ ユリぼうずーー
」
《ユリぼうず》は慌ててそこから飛び降り、チョッパヤで逃げた
《ユリぼうず》が逃げ出した目の前にはちょうど《ジンジン》がいて
《ユリぼうず》は《ジンジン》に突き飛ばされ
さらに馬乗りになられて首を嚙まれた
《ユリぼうず》はひゃーひゃー言いながら方向を変え
こたつの方に向かった
そこには《凜》がいて
こたつに逃げ込もうとする《ユリぼうず》をタコ殴りした
それは本当に早業で、まるで《凜》にたくさんの手が生えてるように見えた
《ユリぼうず》はこたつの違う側に逃げ、そこから中に潜り込もうと試みた
後はお尻だけ、というところで、文鳥打ってこたつの外に転げ出てきた
どうやらこたつの中にいた《ボンネット》に襲われたらしい
(ちょっと待って、そこ、 『もんどり打って』 でいいのよ)
(そうなの?! 僕、新しい言葉を覚えたから使ってみようと思ったの)
それで今度は少しでも高い所が安全だと思ったのか
魔女の机に飛び乗った
だけどそこには机に並んだ本棚の上を寝床にしている《アゾ》がいて
慌てて飛び乗ったものだから、どうやらそこで寝ていた《アゾ》の足を踏んだらしく、もの凄い勢いで引っかかれてしまった
それで《ユリぼうず》はそこから飛び降り、まっしぐらにドアに向かって走ってぶつかって跳ね返った
きっと《ユリぼうず》はその時、外に逃げ出したくて
そんな切なる願望が《ユリぼうず》にドアが開いてるような錯覚に陥らせたんだろうね
跳ね返った先には《水玉》がいて
起き上がったところを秒殺でブッ飛ばされた・・
床の上にひっくり返った《ユリぼうず》は
しばらくぼんやりした後
飛び起きて闇雲に走り回った
こたつから出てきた《ボンネット》と、チビの《凜》がそれを追った
それでも《ユリぼうず》は何とかこたつに潜り込んだ
しかし《ボンネット》と《凜》は執拗に《ユリぼうず》を追った
暫くして・・
《ユリぼうず》引っ込む
また暫くして・・
《ユリぼうず》また慌てて引っ込む
この後、魔女によってこたつから引きずり出され
さらに叱られた《ユリぼうず》は
これまでに見た事ないほど落ち込んだ
魔女は滅多に僕らを本気で叱ったりしないから、なおさらだった
落ち込みは今日になっても続いていて
昨日からほとんど動かず、自分色のクッションの上で顔を隠して丸まってる
その様子はまるで・・
僕はこのままクッションになってしまいたい・・って願ってるように見えた
そんな姿を・・
見かねたんだろうね
魔女が《ユリぼうず》を抱き上げた
また叱られる、と思った《ユリぼうず》はぎゅっと目をつむって
体を硬く丸め、手をぷるぷるさせた
魔女はそんな《ユリぼうず》を抱っこして頭を撫で、 「もういいから」 と言った
《ユリぼうず》は半分信用できない、みたいな目をして魔女をちらっと見上げた
魔女がさらに撫でて、《ユリぼうず》はそんな魔女の様子をみぃみぃ元気を取り戻していった
・・・・・・・・・・・・・・・・
魔女がカーペットの上にお腹を下にして寝転びニャンプリェをやり始めた
魔女は《ユリぼうず》にニャンプリェを取られて以来
パジュル中毒が悪化し
それでアイ~ン・・ アイ~ン
ちょっと、なんだっけ、この前魔女が貸してもらってやってたパジュル
『アインシュタイン式論理脳ドリル』
そう、それをやってたんだけど
それも勢いづいてすぐにやり終わっちゃって・・
とにかく元気になった《ユリぼうず》は、その時みんなと部屋を走り回っていて
《ユリぼうず》がそんな魔女を見て立ち止まり 「あれっ?」 という顔をした
それから・・ とことこと魔女のところに行き
くるっと振り向いて魔女のまん前にお尻を向け
魔女とニャンプリェにしゃんしゃんとおしっこを掛け・・ えっ・・
おしっこ ひっかけたあ~~~!!!
ニャンプリェにも魔女の手にもくっさいしずくが・・
魔女がゆっくり顔を上げ
僕らは・・ ズズッと後ずさった