ジョン ブリアン
ゆうべ・・
魔女が僕にお話があると言ってこたつの布をめくった
僕はご機嫌を悪くして怒った
そしたら魔女が僕をそこから出して抱っこしようとしたから急いで逃げた
僕は猫ハウスのてっぺんに逃げた
魔女は僕の前まで来て 「どうしてご飯を食べないの?」 と聞いた
僕は下を向いて黙ってた
僕は・・
僕はなんだか悲しくて
ここんとこずっと何か悲しくなってて
魔女が話しかけるたびに
どうしてだか・・ ちょっとずつ涙が出てきて
横向いた
魔女が 「散歩に行こうか」 って言った
僕は思わず泣きべそ顔を上げた
魔女は 「まだちょっと足が心配だから《ジョン ブリアン》に一緒について来てもらいたいんだけど・・」 って
僕は 「いいよ・・」 って答えた
僕たちはお外に出た
僕はずっとこたつの布にもぐっていたから、久しぶりのお外だった
夜のお外は凄く寒くて、僕は魔女に 「大丈夫?」 って聞いた
魔女はニャパールの大きなサンダルを履きながら 「《ジョン ブリアン》こそ大丈夫?」 って言った
僕は 「平気だよ!」 って答えた
僕について来てね
魔女 「ねえ《ジョン ブリアン》・・」
僕 「なあに?」
魔女 「《ジョン ブリアン》は、魔女の足が治って嬉しくないの?」
僕 「・・」
魔女 「魔女がいつまでも怪我をしていた方がいいの?」
僕 「・・そんなこと ない」
魔女 「じゃあ、どうしてご機嫌が悪いの?」
僕 「別に・・」
魔女 「魔女は足が治ってホッとしたよ、これでやっと《ジョン ブリアン》が魔女の世話ばかりしないで済む、やっと自由に遊べる、って思ったんだよ」
僕 「僕・・ 自由に遊ばなくったっていいんだ」
魔女 「どうして」
僕 「・・魔女のかんごをするんだもん」
魔女 「けど、魔女がいつまでも歩けなかったらみんな困るでしょ」
僕 「・・」
魔女 「私の傷が治ったことを《ジョン ブリアン》が一番喜んでくれると思ったのに」
僕 「そう・・ よかったね」
魔女 「・・《ジョン ブリアン》が一生懸命に看護してくれたからこんなに早く治ったんだよ、 どうもありがとうね」
僕 「・・」
魔女 「これからも何かあったら 『ジョン ブリアンの鐘』 を鳴らすから、その時はどこにいたってすぐに戻って来てくれる?」
僕 「うん」
魔女 「そしてこれからも魔女の歩く練習に付き合ってくれる?」
僕 「うん! お外を歩く時は僕が一緒に行くよ」
魔女 「さあ、もっと歩こう!」
魔女
翌日、お隣へ回覧板を持っていく時の様子です
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから《ジョン ブリアン》はだいぶ元気になって
ご飯を食べ、お外へも行くようになりました
でも遠くには行かず
必ず鐘の音が聞こえる所にいます
だから魔女は時々鐘を鳴らすんです
そして走って帰って来た《ジョン ブリアン》にこんな事を言います
「ちょっと足が痛いんだ・・」 とか 「お腹が痛い・・」 とか
すると《ジョン ブリアン》は足を抱えてくれたり
寄り添ってくれたりするんです
《ジョン ブリアン》、長いこと介護をしてくれて
ほんとうにありがとうございました