ユリぼうず
ついに僕以外の猫のご飯が底を尽いた
(ユリぼうずはみんなと違ってお薬ご飯だから)
その上ホット カーピェットがご機嫌を悪くして元に戻らなくなった
(壊れた!)
それで今日、魔女はいつも通りの僕と、荷物運びのため家族②を伴ってホームセンターに出かけた
ホームセンターの駐車場がやたら混んでいて
それで魔女が 「ゲッ! 今日は祭日なんだあ~!!」 と、ショックを隠せない様子で嘆いた
祭日だから家族②がいるんじゃないか・・
そっちでは気づかないのか、このバカ女は
車を障害者ゾーンに停めて・・
お店に入るところで賑々しく車を売っていた
それはバーゲン(ワーゲンではない)っぽく・・
魔女は立ち止まってバーゲンの車を眺めた
リャクスミャンさんたちが来た時、ひとりしか乗せられない自分の車の不便さを噛み締めてるのよねぇ・・
魔女はそこでぼんやりと車を眺めたまま言った
魔女 「これください・・」
僕・家族②・男の人(営業マン) 「え・・?」
魔女 「この車下さい」
家族② 「でたよ・・」
僕 「また夢と現実がごっちゃになっちゃってるのね・・」
その営業ミャンたら言う人は、魔女がどんだけバカか知らないので真面目に車の説明を始めた
説明がどんどん進んでついにお金のところまでいった
僕 「ねえ家族②、それは大変なお支払いなの?」
家族② 「魔女家にとっては大変な額だよね・・」
僕 「早く正気に戻るといいねぇ・・」
・・・・・・・・・・・・・
営業マン 「少しお高くなりますが、前の座席がベンチシートのもございますが」
家族② 「じゃあベンチシートで!」
うわっ! 家族②が乗り気だ
僕 「それってどんなの?」
家族② 「運転席と隣の席が繋がったりするんだ!」
僕 「わあ! いいじゃん!」
魔女 「サイドバイザーも付けた方がいいな!」
家族② 「CDも聴きたいなっ!」
僕 「シャキーラ! シャキーラァァァァ~~!!」
営業マン 「では今お持ちの車は下取り、ということで」
魔女 「誰があの車を手放すと言った!!
さては私たちの仲を裂く気だな!!」
営業マン 「そ、そんな、滅相もない それでは、し・・下取りはなしということで・・ マットやらそれらやらをお付けしまして、目いっぱいお値引きいたしまして、こちらがお支払額になります」
魔女 「う・・む・・」
営業マン 「あの・・ これではご納得いただけませんか・・」
魔女 「う~ん・・」
営業マン 「・・」
魔女 「・・」
僕 (あれ? 夢から醒め始めちゃった?)
営業マン 「ではもうこのお値段で最後でございます、こちらの儲けはこの通り、ほぼありません・・」
魔女 「そんなに安くして・・ この車古いの?」
営業マン 「新車でございますぅぅぅ~!!」
魔女 「うぅぅ~ん・・」
営業マン 「助けてください・・」
魔女 「・・なにを?」
営業マン 「私を・・」
魔女 「助けてください・・」
営業マン 「誰を?」
魔女 「私を・・」
営業マン 「」
魔女 「あの・・」
営業マン 「な、なんでしょうか」
魔女 「これ・・ どこの会社の車?」
営業マン 「TO・YO・TA! でございます~~!!」
家族② 「よく見なよ!そこらじゅうに トヨタって書いてあるじゃん! それにこの人の名札にも名前の前に TOYOTA って」
魔女 「ふぅ~ん・・」
営業マン 「それで・・ お値段・・」
魔女 「むぅぅぅ~・・」
営業マン 「・・それでは、キリの良いところに致します、どうかもうこちらでご勘弁を~」
魔女 「だから、これ下さい、って・・」
営業マン 「は・・?」
魔女 「さっきからそう言ってるでしょ」
営業マン 「くくっ・・」
魔女 「でも今はお金ないよ、いくらか持ってるけど、それで猫のご飯を買わなきゃならないの」
営業マン 「お支払いは後ほどで結構でございます・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして魔女は衝動買いをした
僕 「ねえ魔女、リャクスミャンさんたちが来て、自分の車が不便だってやっと気づいたんだね」
魔女 「なにそれ・・」
僕 「え! そうじゃないの?!」
魔女 「赤い顔の大きなカエルが魔女を見てたんだ」
僕 「なにそれ・・」
魔女 「あの車だよ、よく見てごらん、カエルみたいじゃないか」
僕 「・・・」
カエルが好きなのはいいけれど・・
お金はどうするつもりなんだろ
絶対そこんとこ何も考えてないのよねぇ
これじゃ、前に 『悪魔』 を買った時と同じ しゅちゅえーしょん じゃないか・・