ネパールこぼれ話 ~ チベット仏教寺院にて ~ | まじょねこ日記

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一昨日、記事を書いていて思い出した

それはチベット仏教寺院での事


意味も解らないくせにお経が好きで

チベット仏教の読経が大好きで


そのチベット仏教寺院でお経を聞きながら本堂の横にある窓から空を眺めていると

どうぞ中にお入り下さい、と声を掛けられた

何年か前のことだ

以来この寺院を訪れる度にお経を聞かせてもらうことにしている

在り難いことに床にはチベット絨毯まで敷いてくれる


部屋には上座中央に高僧、その両脇に次に位の高い僧

その両脇には大きなドラがあり

部屋に2列に並べられた長細い机にはリンポチェ以下の僧で位の高い順に互いに机を挟んでずらりと並ぶ

下座におわすのは子供の見習い僧だ


ここで私ははいつも窓を背にし、下座辺りにあぐらをかくのだけれど

下座だから目の前の机には子供の僧が座っている


この子供の僧が面白い

細い机を挟んで、私に背中を向けている子供の僧と

こちらを向いているやはり子供の僧がいるわけなのだけど


読経中、こちら向きの子供の僧が目の前の僧越しに体を傾け・・ こちらを覗く

また読経中の子供は子供で、もごもごとお経を読みながらこちらを振り返る

集中しなさいよ・・

修行してるんでしょ

と、私は眉を寄せ、目配せをする


そうすると慌ててお経を読み出すんだけど

暫くするとまたお経そっちのけで同じ事をする


私はその度に苦い顔をして顎をしゃくる

小坊主たちのせいでゆっくりと経を聴く暇もない


一通り読経が終わると

水と少しばかりの質素な食べ物が配られる


こちらを向いている7才くらいの僧が


子供の僧  たべる? (食べ物を指差す)


魔女 食べないよ・・ (首を振る)


子供の僧  あげるよ  (両手で押し出す仕草)


魔女  いいから自分で食べなさい (身振り手振り)


子供の僧侶  はんぶんたべる? (半分に分ける)


魔女 いいからっ!  (首を振る)


子供の僧 いいの?  (上目遣い)


魔女  いいのっ!  (眉間に皺)


子供の僧  ほんとうに?  (上目遣いで首を傾げる)


魔女  小坊主、修行中だよ! 集中しなさいっ (経典を指差し、睨む)


そうこうしているうちに年長の僧侶がやって来て

・・その僧侶に無言のうちに叱られ、小坊主は首をすくめる


ドラが鳴らされ

リンポチェの開口から再び読経が始まる


目の前に置かれた経典をめくってはいるものの

こっちを覗いたり、振り返ったりしているものだから

小坊主はどこを読んでいるのが解らなくなる


それで上目遣いでこっちを見る


魔女 私見たって知らないわよ! (首を振る)


子供の僧 ・・・   (困り顔)


魔女 知らないから!  (もう一度首を振る)


子供の僧 汗  (泣きべそ顔)


魔女 隣の子のを見なさい  (顎をしゃくる)


子供の僧 ちらちら・・ ど・・どこ?  (半べそ)


魔女 こっちを見ないで・・  (目を逸らす)


子供の僧 どこ? どこ?  (隣の経典を必死に覗きながら、また見る)


魔女 わかんないっ! (どうしてやったらいいかわかんないよ・・)


そしてまた・・

年長の僧がやって来て・・

無言のうちに前よりきつく叱られる


小坊主 あせるあせる


私と小坊主の疎通は、声を出せないから互いの顔つきや動作のみで行われる

うんと小さな小坊主はあくびをする

同じくらいの年でも、落ち着いて経を読む子、落ち着きのない子、様々だ


そのうち・・

その子たちは落ち着いた少年僧になって

立派に経典を読み上げており


そしてまた

新しくやって来た小坊主たちが

同じ事をやってくれる・・


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