ネパール日記  ~ 縁は異なもの味なもの ~ 《タイガーおじさん Ⅰ》           | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


数年前のこと

魔女は帰国のためカトマンズからバンコクに向かっていた

私は機内中央の席で、左隣はネパール人のおじさんだった


魔女は閉所恐怖症だからいつも最後に搭乗する

通路側の席に座っていたネパール人のおじさんが、後からやって来た私を奥の席に座らせるために立ってくれたので、お礼を言って席に着いた


飛行機が飛び立ち

暫くして食事が運ばれ

そしてそれが終わった頃・・


通路を隔てた向こう側に座っていた白人男性(老人)がトイレに行くために席を立とうとした

が・・ まだ回収されていない食事トレイが邪魔で身動きが取れない

それでなくとも彼は物凄く太っていて、たとえ簡易テーブルが倒されていなくても、立つのがやっとな程だ


そこで、魔女の隣の席のネパール人のおじさんが立ち上がって、簡易テーブルに乗っていたその老人の食事のトレイを持ち、テーブルを元に戻してあげた


やっと席から出られた老人は、無愛想な顔でこちらを一瞥し

このネパールおじさんにトレイを持たせたまま

一言の礼も言わずトイレに向かった


この慇懃無礼な態度に、私、もの申す!


「ちょぉ~と待ちなさいっ!」


そう言って立ち上がりかけた魔女を

このネパール人のおじさんは腕を引いて制した


ネパールのおじさん 「いいから・・」


魔女 「よくない!」


ネパール人のおじさん 「あんなもんだよ」


魔女 「どんなもんだよ!」


ネパールおじさん 「そんなもんだって・・」


魔女 「冗談じゃない! 人に親切にして貰っておいて、お礼も言えないなんてどういう神経よ!」


ネパールおじさん 「それよりあなたはどこまで行くの?」


このおじさんは、私の気を逸らそうとして何やかやと話しかけてきた

そうして話しながら、ネパールおじさんは食べ散らかされた老人のトレイを、目の前の自分のトレイの上に乗せた

太ったおじいさんがトイレから戻っても席に座れるように・・


それが魔女には非常に不服だった


トイレから戻った太っちょじいさんは、やはり礼も言わず席に着いた

ネパールおじさんの前は2人分のトレイが積まれている・・


魔女 「う・・ あぁ、やっぱダメだ! そこのあなた!!」


ネパールおじさん 「ああっ!!」


魔女 「どうしたの!」


ネパールおじさん 「すぐにイヤホン付けて!」


魔女 「・・なに?」


ネパールおじさん 「3チャンネルにして!」


魔女 「・・」


ネパールおじさん 「早く!!」


魔女 「・・ レゲエミュージック・・」


ネパールおじさん 「リズムを取って!」


魔女 「え・・」


ネパールおじさん 「ほら、こうやってリズムを取るの!」


魔女 「リズム・・ 取るの・・?」


ネパールおじさん 「そうそう!」


魔女 (ズンチャカ音譜  ズンズン音譜


ネパールおじさん 「楽しいね!」


魔女 「うん!」 (単純・・)


私たちは、左右に両手を振りながら同じ動きでリズムを取り

そのうち体も揺らし・・

最後には二人して息もぴったりの上半身ディスコ状態になっていた


客室乗務員たちが行き交いながら私たちを見て笑っている

通路を通る乗客たちも笑っている

一緒に体を動かしながら、私たち自身も笑い出していた


そのうち自分たちで勝手に作った歌詞を・・

交互に口ずさみ、私たちはノリノリになっていた


魔女 「オンシラズゥ~ オゥ 音譜 

         ハジシラズゥ イェ~ 音譜」 (日本語)


ネパールおじさん 「デ~ブデブゥ オゥ 音譜 

        ビッグヒップゥ イェ~ 音譜」 (ネパール語)


つづく