絶望的な風景 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


またしても昨夜見た夢のお話


魔女は砂漠を歩いている

後ろには軍団が続く


根拠はないが、ここはタクラマカン砂漠だ

日差しも砂も熱くて、もう死にそうだ


なぜか魔女は下駄を履いており

軍団のぞれぞれの猫の4本の足には梱包用のプチプチが髪ゴムによって巻きつけられている

《ユリぼうず》だけは相変わらず魔女の胸にしがみついて目をうるうるさせていて・・うっとおしい


みんなよたよたと歩き続ける

《ジョン ブリアン》はライトセーバーを抱えていて

砂漠では役に立たないだろう

と言っても絶対にそれを離そうとしない

夕べに引き続き馬顔の《ジンジン》は耳に血染めの包帯を巻いている

ボロボロのマントをつけた《水玉》は痛めた前足を引きずっており

《涼子》はダヤン風に目を吊り上げて苛々感を募らせ

《アゾ》はひっきりなしによだれを垂らしている

《ボンネット》の背中の黒い毛の部分からは煙が出て始めて

《バブー》がみんなより遅れだした


魔女は戻ってじきに燃え出しそうな《ボンネット》の背中に《アゾ》のよだれを掛け

それから《バブー》を抱えた

「《ユリぼうず》は邪魔だからいい加減歩け」 と言っても

「僕の足にはプチプチのカバーがないから無理!」 と言って胸から離れようとしない


熱い・・ あぁ 熱い・・

振り返ると、軍団は今にも倒れそうだ


みんな頑張れ

生きて家へ帰るんだ 絶対に生きて帰るんだぞ


しかし・・ もう限界だ

みんなしてこの砂漠の中で風化してしまうんだ・・


そう思った時

彼方にオアシスが・・

空を映した水をなみなみと湛えるオアシスが


み、みんな! あそこまで頑張るんだ

私たちは最後の力を振り絞ってオアシスを目指した


水が近づいて来る

少しづつ、少しづつ・・

軍団は歯を食いしばって頑張った

《バブー》は魔女の腕の中でくたんとしている

《ユリぼうず》だけが歯も食いしばらないで、ただ目をうるうるさせて・・ うっとおしい


みんな、もうすぐだぞ!

私たちは這うようにして水場に辿り着いた


水だ!水だ!

みんなが亀のようになって水に飛び込もうとした時・・


み、水が動きだした

水はもこもこと盛り上がって

大きな水色の象になって立ち上がり


「あ~ぁ、ざんね~ん!! 象でした!」 

と言った


私たちは呆然とした


少しして、怒った《ジョン ブリアン》が、よたよたしながらライトセーバーを振り上げて象を切りつけた

象は切られると2つに別れるが、またすぐにプルプルしながらくっついて元に戻る

それはまるで水銀のような感じだった

《ジョン ブリアン》は悔しくて悔しくて、泣きながら、そしてふらつきながら何度も剣を振り上げて水色の象に向って行った


すると《涼子》が、どこから手に入れたのか

バズーカ砲を持ち出して象を撃ってしまった


水の象は宙で砕け散り、その水は空に向って蒸発した


気がつくと、私たちのまわりには

また果てしない不毛の砂漠世界が続いていた・・


この救いようのない夢はここで終わった・・ と思う


朝起きて、魔女は《ユリぼうず》以外の軍団をしっかり抱きしめた

お金を貯めて、《ジョン ブリアン》にはおもちゃのライトセーバーを買ってあげる、と心に誓っていた


《ジンジン》の耳は一段と良くなっていたが

当然魔女の熱は下がってはいなかった