トミニャガさんとお買い物 Ⅴ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ユリぼうず


まじょねこ日記-yuri08614

トミニャガさんは両足を外側に大きく開き

胸からコートを垂らして・・

ショッピャングモールを見上げたまま突っ立っていた


車の屋根を戻し、僕を抱えて降りた魔女が言った


魔女 「トミニャガさん、ちゃんとコートを着てください」


トミニャガさん 「・・こ、ここには何かお惣菜・・ ありますかしら・・」


魔女 「トミニャガさんの口に合うようなお惣菜はありません」


トミニャガさん 「バッグは・・?」


魔女 「トミニャガさんにふさわしいバッグもありません」


トミニャガさん 「お化粧品は?」


魔女 「んな・・トミニャガサンのお肌にあうような無駄な化粧品はない」


トミニャガさん 「じゃあ何があるの!」 


僕 「《べス》のご飯とトイレ砂があるよ!」


魔女 「もういいから入りましょう」


トミニャガさん 「魔女さん、それ・・何ですの?」


魔女 「ショッピングカートです」


トミニャガさん 「まあ!」


魔女 「《ユリぼうず》、いつもの所に乗っかって」


僕 「はいはい」


トミニャガさん 「わあ!」


魔女 「いちいちリアクションが激しい・・ それにしても何と場違いな服装・・」


トミニャガさん 「何かおっしゃった?」


魔女 「いえ・・」


トミニャガさん 「あれ・・ 魔女さん、何を買ってらっしゃる?」


魔女 「木の棒」


トミニャガさん 「建て増し?」


魔女 「長さ1メートル、直径3cmの棒3本でどんな家が建つんです?」


トミニャガさん 「じゃあそれ・・ どうなさるの?」


魔女 「小学校での図工の教材です」


トミニャガさん 「・・ 魔女さん、小学校で教えてるの?!」


魔女 「金が欲しいので・・」


トミニャガさん 「ウプッ・・ まさか! う・・う・・ うわはははは!!」


魔女 「ちょっと、お店の中で激しく笑うのは止めていただきたい!」


トミニャガさん 「ヒック・・ ヒック・・ そりゃまた生徒さんが迷惑でしょうに!」


魔女 「何言ってるんだ・・」


トミニャガさん 「これは教育上の大問題ですわ!」


魔女 「どこまで失敬な人だ・・」


トミニャガさん 「ちょおっと! 魔女さん、これお安い!!」


魔女 「そうですか?」


トミニャガさん 「こ、これも! これも! おやっす~い!!」


魔女 「・・」


トミニャガさん 「あれも!これも! わあ、凄い!すんごお~い!!」


魔女 「店の中でうるさくはしゃがない! そのうち警備員がやって来るぞ」


それからというもの・・

トミニャガさんは広いお店を縦横無尽に走り回り

見よう見まねでカートまで引っ張って来て

壮絶に感動しながら、壮絶な買い物を始めた


僕たちは、そんなトミニャガさんに見切りをつけ

ペットフードの売り場に向った

魔女はそこで僕らの好みを考えながら、かつ安売りの商品を中心に1ヶ月分の軍団のご飯とトイレの砂を買い込んだ


魔女 「買い物終了!」


僕 「トミニャガさんは?」


魔女 「さっきまであっちでガシャガシャ騒いでいたけど・・」


僕 「何を騒いでいたの?」


魔女 「カートがUターンしないとか何とか・・」


僕 「でも、今は気配がないね・・」


魔女 「どこに行っちゃったんだろ・・」


僕 「・・そっち側の、何やらがてんこ盛りになってるカートが怪しい・・」


魔女 「なるほど・・」


そこは、魔女が苦手なペットショップコーニャー・・

トミニャガさんはガラスの前に座り込み

うっとりとした顔で中の犬を見ていた


魔女 「トミニャガさん、ここで何していらっしゃる・・」


トミニャガさん 「見て・・ かぁわい~い ちっちゃあ~い・・」


魔女 「だから・・?」


トミニャガさん 「・・欲しい」


魔女 「今度は犬が欲しいんですか?」


トミニャガさん 「うんラブラブ でもこっちの猫も可愛いかな・・」


魔女 「・・ なら、もっといっぱい動物がいる所にお連れしますよ」


トミニャガさん 「え~! もっといるの! どこ?」


魔女 「動物管理センターです」


トミニャガさん 「動物・・管理・・?」


魔女 「明日にも命がなくなる動物たちがいっぱいいます。 動物を飼いたいならそこから連れて来て家族にしてあげてください」


トミニャガさん 「・・そんな なにもそんな話ここでしなくったって」


魔女 「じゃあ、ここから離れてください、お買い物が終わったのなら帰りますよ」


トミニャガさん 「まだ終わらない!」


魔女 「なに!まだ買う気ですか!」


僕 「トミニャガさん、カートがてんこ盛りで前がなんにも見ないじゃないか・・」


トミニャガさん 「私、カートをもうひとつ持ってき来ます」


魔女 「私は押さないからね、自分ので手一杯!」


トミニャガさん 「うわっ! 何て意地の悪い・・」


魔女 「意地が良いとか悪いとかの問題じゃない!」


トミニャガさん 「分かってますわよ!押すか押さないかの問題でしょ」


魔女 「押さないから!」


トミニャガさん 「・・ 外商の方を呼んでちょうだい!」 


魔女 「だから高島屋じゃねぇつってんの!」


つづく