ちょっと山登り Ⅴ ~ 喉の渇き ~ | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女


観光客などほとんど降り立たないドゥンブレ

この町一番のこのホテル

部屋はベッドがあるだけの質素なものだった


シャワーは一階のトイレの隣にあり

その一階は大衆食堂になっていて

それは食堂の客も使うトイレであり

そのトイレの隣のろくにドアも閉まらない暗いシャワールーム

しかも、シャワーは壊れていて

下に据え付けられた蛇口に身をかがめるようにしてドアを気にしながら水を浴びる

勿論、お湯など出るわけもなく・・


それでもやはり町一番だと思ったのは・・


魔女がゴルカから携帯を受け取ってドゥンブレのバザールに戻り

マンガール達が村から送ってきてくれたようこさんとそこで合流し

その夜のホテルを探していた時


ネパール語でホテルと書かれた看板をみつけ

泊めてほしいと言ったところ

そこのおばあさんは大きなため息をついた


魔女 「ホテルなんだから部屋はあるんでしょ」 


おばあさん 「あるよ・・」


魔女 「部屋を見せて」


おばあさん 「・・ここだ」


え・・ そこは・・ おばあさんの部屋じゃんか・・


そんなんばっかで・・


さて、本日は、ようこさんの初めてのお使いから始まった

ひとりで朝食を買いに出かけたのだ

ようこさんは通りを渡ってあげパン屋さんに向かい・・

初めてのお使い 08831
お皿まで貸してもらって、初めてのお使い大成功!


カトマンドゥを発って今日で4日目

いくらなんでもそろそろ山に登らなくちゃねぇ


ということで

遅めの朝、バザールのホテルにマンガールとマノツが彼らの身内であるラクシミとカマラを伴ってやって来た


いよいよ山登り開始

目指すはベシサハール

ここなら足の弱いようこさんでも登れるかな・・


天気がよければ、ここから眼前にヒマル チュリ、マナスル、左手にアンナプルナ ヒマールが展望できる

まだ雨季も明けていないし、今回は期待してないけれどね 


バザールからリリコットまではジープバス

バスは山道をガンガン飛ばし

終いには、道の悪さ (あれは道とは言えない・・ むしろ、道じゃない!) に、ジープはひっくり返りそうになりながらリリコットに到着

マンガールとマノツは後で追いつくからと言い残し、そのまま友人の家へ


女4人で登り始める

少女たちはキャッキャと賑やかで

ご親切に私たちの荷物を背負ってくれる


mountain-1 08831

登り始め

mountain-2 08831
結構登ったね


随分登って来たがマンガールたちはまだやって来ない

途中、数件の民家があるところで休憩

ちょいと空腹を覚えた魔女に

ラクシミがケラ(バナナ)をくれた


mountain-3 08831
通りがかりの村人も一緒に一休み


この辺りはまだジャングルで、歩くと余計に暑い

その後、突然の喉の渇きが私を襲うのだけれど・・


ラクシミ 「ケラ、おいしい?」


魔女 「ネパールのケラを食べちゃうと、日本のは不味くて食べられなくなる。 本当に美味しいわ!もっともっと、もっとちょうだい!」


ラクシミ 「はい、どうぞ」


魔女 「ガツガツ、パクパク! ガツガツ ・・・ ・・」


ラクシミ 「マジョ、どうした?」


魔女 「・・ピャース ラギョ(喉が乾いた)、カマラ!私の水を返しておくれ」


カマラ 「ない」


魔女 「さっき持ってったじゃないか」


カマラ 「飲んじゃった」


魔女 「・・何だって」


カマラ 「ラクシミと2人で飲んじゃった」


魔女 「なんでっ!」


カマラ 「喉が渇いたから」


魔女 「このっ・・ み、水をよこせ・・ 何としてもマジョに水をよこしなさいっ!」


ラクシミ 「ど、どこかの家から貰って来るよ」


魔女 「水!水!水~~~~!!!」


それでラクシミとカマラは空のペットボトルを抱え・・ 走った


民家の入り口で一生懸命に何かを言っている2人

その家の人に交渉しているのか、頼んでいるのか

んーなものどーだっていい! 

は、はよ水をもって来いやあ~!!


民家の男が水差しからペットボトルに水を入れてる・・

それを抱えて帰って来た2人


ラクシミ 「はい!水もらって来たよ」


魔女 「み、水だ・・」 (ところで・・これ、どんな水よ・・)


カマラ 「マジョ、水だよ・・」


魔女 (いったいどんな水なんだ・・)


ラクシミ 「どうしたの?」


魔女 「ええい! よこせ! ガブガブガブ・・ う、美味い・・ ガブガブガブ・・」


そこへやっと現れたマンガールとマノツ


マンガール 「マジョ、水の色がおかしいけど・・何飲んでる?」


魔女 「・・・」


マノツ 「何飲んでる!」


魔女 「地元の水っ! ガブガブガブ!」


マンガール 「わあ! すぐに吐き出せっ!」


魔女 「遅い・・ もういっぱい飲んじゃった」


黒い顔が心なしか青ざめて見えるマンガール 「お、お腹がとんでもない事になるぞ・・」


魔女 「はあ~? 私たちの水を持ったままこんな時間まで寄り道してたのはどこの誰なんだぁ?」


マノツ 「マジョってば、大変な事をしてしまって・・」


魔女 「大変な事? 実際に大変な事は、おまえたちの身内が2人してマジョの水を全部飲み干しおったって事じゃ!」


青めの顔のマンガール 「だからって何も俺たちだって飲まない土地の水を飲むことないだろうが!」


魔女 「我慢できませんでした!」


マノツ 「バカ・・」


魔女 「バカ・・? マジョがどうにかなったら責任取れや・・」


マノツ 「どうやって」


魔女 「さあね~」


カマラ 「マジョ、お腹が減った・・」


魔女 「一生減ってろ!」


喉の渇きも癒えて

バナナの皮はヤギにあげて

さあ再び出発だ!


mountain-4 08831
『魔女、地元の水を飲む事件現場』 にて

左からラクシミ、マノツ、(手前)カマラ、マンガール



道は次第に険しくなり

ようこさんの足を気遣うマノツが、彼女と共に登り

魔女は猿のようにテッテケテッテケ登る

先は長い・・ 


カマラ 「マジョ、お腹が減った・・」


魔女 「あたしゃ またしても喉が渇いたよ!」


カマラ 「お腹が減った!」


魔女 「喉が渇いた!」


喉の渇きは空腹よりも我慢が出来ない事を

生まれて初めて知った有意義な出来事だった


この先も試練は続く・・