ジョン ブリアン
今日、無口なヤモリを見つけたよ
おうちがあんまり暑いから
魔女がお庭までだったら出て良いって許可してくれたんだ
僕は言いつけを守って絶対にお庭からは出ない
毎日お庭をうろつく
そこで涼むのに、どこかいい場所はないかなって探していて
たくさんの葉っぱに覆われた桜の木の切り株があったことを思い出した
( やあ、ここがいいや!)
それで飛び乗ってひんやりした切り株にお腹をくってけて
ああ・・ここはお部屋より秋だ
なんて思って・・ ふと横を見たら
・・あれ、ヤモリさん?
僕 「どしたの?」
ヤモリさん 「・・」
僕 「僕、何もしないからお隣にいさせてね」
ヤモリさん 「・・」
僕 「《もりやさん》と違って無口だね」
ヤモリ 「・・」
僕 「ずいぶん痩せちゃってるね・・ 疲れてるの?」
インジゴ 「《ジョン ブリアン》、そんなところで何ブツブツ言ってるの?」
僕 「ひとり言じゃないからね、ヤモリさんに話しかけてるの」
インジゴ 「ああ、そこにいるヤモリさんか!」
僕 「知ってるの?!」
インジゴ 「うん、いくら話しかけてもお返事しないヤモリさんでしょ」
僕 「すごく無口なんだ」
インジゴ 「そうなんだよね・・《ジンジン》もそう言ってたよ」
《インジゴ》はそう言うと《涼子》のいる物置に行ってしまった
僕はヤモリさんが怖がらないように、切り株のはじっこに寝そべって
僕 「いつまでここにいるの?」
ヤモリ 「・・」
僕 「ここは良い場所だよね! 涼しいしさ、それですぐ隣は《伐》のお墓でしょ、こっちの隣は《今日ちゃん》のお墓でしょ、それに目の前はアトリエだもんね」
ヤモリ 「・・」
僕 「あ・・ 見て、葉っぱが降りて来てとまったよ!」
ヤモリ 「・・」
僕 「・・・」
魔女 「《ジョン ブリアン》、ここにたのか、夕食の時間だよ」
僕 「はあ~い!」
魔女 「切り株の上で涼んでたんだね」
僕 「うん、涼しかったよ! ヤモリさんに話しかけてた」
魔女 「無口だったでしょ」
僕 「どうして知ってるの?」
魔女 「ミイラだから」
僕 「え・・?」
魔女 「あのヤモリさんはミイラだから」
僕 「・・でも、《インジゴ》だって《ジンジン》だって話しかけてるらしいよ」
魔女 「それでもミイラだから」
ヤモリのミイラに遠慮してはじっこで涼む《ジョン ブリアン》
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