ジョン ブリアン
今日は僕のけんしを病院でやるんだって
魔女 「ちょ、ちょっと《ジョン ブリアン》、何言ってるの! 『けんし』 じゃなくて 『けんしん』!!」
僕 「たいして違やしないじゃない・・」
魔女 「検死と検診ではたいして違うのよっ!」
それで、えっと・・ 僕はけんしんだったの
魔女が朝からのお仕事が終わって
お部屋に入って来て僕をバスケットに突っ込んだ
あの嫌な思い出のバスケットに・・
それで僕は鳴いた
「やめて!やめて!」っていっしょけんめに鳴いた
車の中でもずっと鳴いた
魔女が話しかけても、僕は聞いてなくて
ただ鳴いていた
病院では、あの先生が待ち構えていて
(そんな言い方しないの・・)
僕を機械だらけのお部屋に連れて行って検査をした
僕はその間じっと良い子にした
前に《ユリぼうず》の付き添いで病院に行った時
《ユリぼうず》に教わったんだ
「いいか、病院ではおとなしくしているんだ、そうするとさっさと終わるからさ。 無駄なエネルギーを使うと損するからね。 ほら、見てみな、あの猫、あいつはきっと診察の時暴れるぞ、そうするとやっかいなことになるんだ」
その時、《ユリぼうず》の前に診察室に入ったその猫
この猫の恐ろしい鳴き方は・・
今までに聴いた事もないものだった
その上大暴れしている様子で・・
診察室の中からはドンガラガッチャン、ギャバギャバという音と一緒に、先生や連れて来た女の人の叫び声まで聞こえて来て
僕は思わずすくんで魔女にしがみついた
隣では、《ユリぼうず》が大きなあくびをしている
さすがに病院を知り尽くしている猫は違うと思った
診察室から出て来たその猫は、まだ恐ろしい声で唸っていた
そして飼い主の女の人は血だらけだった
その後の《ユリぼうず》の診察は、僕も見学した
《ユリぼうず》は台に乗ってじっとした
重さを計ってもらっているんだって
お尻に棒(体温計)を突っ込まれた時は
小さな声で 「キャッ」 と言っただけで
その後は三白眼で天井を見詰めてじっとしていた
針で突っつかれても(注射)、ぼお~っとしていた
そして診察はあっという間に終わった
僕はここで受診の心構えを学習をしたんだ
だから今日、僕はじいっとしていた
診察が終わって
僕はこれからどうなるんだろう、っと思った
またここで暮らすの?
でも・・
魔女がやって来て僕を抱っこした
そして家に連れて帰ってくれたんだ
僕は帰りの車の中でも鳴きっぱなしだった
暑くて嫌だったし、スピードが速くて怖かった
そんな中・・ 音楽が聞こえてきた
その音楽で僕は鳴きやんだ
僕はその歌に聴き入っちゃって・・
そのまま家に着いた
魔女 「《ジョン ブリアン》、さっきの歌、相当気に入ったみたいだね」
僕 「なんでだか、僕・・ あの歌大好き」
魔女 「歌が始まったら、急に静かになったものね」
水玉 「へえ、そうだったんだ」
僕 「魔女、あれ、なんていう歌なの?」
魔女 「 《帰りたくなったよ》 っていう歌だよ、 しかも歌っているのは 「 『いきものがかり』 だし・・ 」
水玉 「それ・・ かなり微妙だな」
ジンジン 「微妙・・? 絶妙だろ・・」
それから
僕は何度も、何度も魔女に言った
僕 「魔女、僕をおうちに連れて帰ってくれてありがとうございます」
魔女 「《ジョン ブリアン》をどこにもやらないよ」
僕 「僕をおうちに連れて帰ってありがとうございます」
魔女 「だから・・」
僕 「おうちに連れて帰って本当にありがとう・・」
魔女 「・・・ おい、魔女の言ってる事も聞けや!!ったく毎回毎回これだ・・」
お陰さまで《ジョン ブリアン》の経過は良好でした
レントゲンにはまだほんの少し影が残っているので、薬は続けなければなりませんが、この調子で行けば後半月から1ヶ月位で完治するのではないか、という事でした
ご心配をして下さったみなさま、《ジョン ブリアン》共々心から感謝致しております
魔女
家に帰ったら宅急便が来ていた
魔女 「・・《ジョン ブリアン》様、って書いてある」
ジンジン 「《ジョン ブリアン》に来たの?」
魔女 「大丈夫、その後に皆様とも書いてあるから」
ジョン ブリアン 「誰から?」
魔女 「えっと・・ え・・? さん?!!」
ジョン ブリアン 「 さん・・って、魔女が僕らに読んでくれたコメントの人?」
ジンジン 「僕らの日記を読んでくれてる人でしょ」
水玉 「川で落ちた猫を拾ってくれた人?」
魔女 「そうだね・・」
インジゴ 「魔女、すぐにお礼を言わなきゃ」
魔女 「電話番号・・書いてない 住所も書いてない・・」
僕ら 「・・・ ええっ~!!」
つづく