水玉
![mizutamz-1 08212](https://stat.ameba.jp/user_images/46/ff/10048321163_s.jpg?caw=800)
魔女がひとりごと風につぶやいている
「いくら呼んでも《涼子》が来ない・・」
「もう3、4日になるよ、大雨の日からずっといないんだ」
「心配だ・・ ああ、心配だ」
僕は嫌な予感がした
《ユリぼうず》は寝たきりだし・・
それでも淋しいのか魔女の後をついて行っては、その行く先々で眠っている
そんな風だから、結局僕しかおらず・・
僕しか・・
魔女 「ねえ、《水玉》」
僕 (来たよ・・)
魔女 「《涼子》がね・・」
僕 「わかったよ・・」
偵察、捜索、それは僕の役目だ
《ユリぼうず》は僕よりもっと凄くて、超猫的な勘を備えているが
今の状態では全く役に立ちそうもない
僕は《涼子》の居そうな所を歩き回ったが見つからないので
最後に最も行きたくないお化け屋敷に行くしかなくなった
お化け屋敷は、とんでもない事になっていた
むっちゃむっちゃに草が伸び、そっこいらじゅうが蜘蛛の巣だらけ
僕は草に引っかかれたり、蜘蛛の巣に巻き込まれたりしながら屋敷に向かって進んだ
やっと屋敷にたどり着いた時は、僕の体中は悲惨な事になっていた
通りの方から行けばよかった・・
お化け屋敷の1階の、僕の利き手から3番目の部屋
僕はそこの扉の前でヒャーヒャーと鳴いた
それでもお返事がないから、破れた窓に飛び乗り
バランスを取りながら首を長くして中を覗いた
奥の部屋に《涼子》の曲がった尻尾が見えた・・
そこで僕はもう一度ヒャーヒャー鳴いた
《涼子》が・・ 動かない
僕 「魔女ー!! 魔女おー!!」
魔女 「どうした!」
僕 「《涼子》が、《涼子》が!!」
魔女 「《涼子》がどうした!」
僕 「ニャ、ニャバーランドに行ちゃったみたい」
魔女 「・・ 」
それから僕らと魔女はお化け屋敷に走った
みんな気が動転していたから、また下の雑草の入り口から入ってしまった
(お化け屋敷には上の通り沿いからと、下の草むらからのと2通りの行き方がある)
僕らは、草をかき分け、蜘蛛の巣を巻きつけた魔女の後に続いた
《涼子》のいる部屋の前に到着した魔女は
扉の真ん中の四角い穴(郵便受け)から中を覗き
必死で《涼子》の名を呼んだ
僕も破けた窓に飛び乗って一緒にひゃーひゃーと鳴いた
魔女 「ダメだ・・ 動かない」
ジンジン 「どうする・・ どうしよう・・」
魔女 「ドアを蹴破る! みんなどいて!!」
僕 「魔女、待って! 僕が中に入って見て来るよ!」
魔女 「そうか! 取り合えずそうして!」
「うるさいなあ・・」
僕ら 「・・」
「うるさい・・」
《涼子》がゆっくり顔を上げてこっちをにらんだ・・
つづく