水玉
今朝、魔女は何やら用事があったみたいなんだけど
目覚ましのケータイと間違えてデジカメをベッドに持ち込み
寝坊していた・・
そういう訳で、僕らの朝ご飯も遅くなっており
僕らはお腹を空かせて魔女が起きて来るのを待っていた
リビングでは《ユリぼうず》の苛々がつのっており・・
僕らは当り散らされるのが嫌でビクビクした
突然、《ユリぼうず》が立ち上がり
背中を丸めて体をプルプルさせながら伸びを始めた
そのついでにあくびもして・・ 当然大きな牙が見えて・・
僕らは思わず目をそらした
伸びが終わると、絨毯を凄い勢いでバリバリと引っかき始めた
この時点で、恐怖が絶頂に達した《アゾ》が怯えて唸り出した
毎度そうなんだけど、そういう《アゾ》の態度は必然的に《ユリぼうず》の神経を逆なでする訳で・・
僕は思わず《アゾ》を押さえ込んでいた
《ユリぼうず》が《アゾ》の方を見た
逆三日月の目で見た
もう終わりだ・・
僕らがそう感じた瞬間
《ユリぼうず》はいきなりテーブルに乗っかって猫踊りを始めた
ぴょんぴょん跳ねてみたり、くるくる回りをしたり・・
先ほどの逆三日月目が、まあるい可愛いキラキラ目に変わっている
僕 「どした・・?」
ジョン ブリアン 「お腹が減りすぎておかしくなっちゃったの?」
ジンジン 「・・」
アゾ 「ううぅぅぅ~・・」
僕 「《アゾ》、やめろ!」
インジゴ 「どういう流れでこうなるの?」
僕 「流れなんてあるものかよ」
魔女がデジカメ片手にぐちゃぐちゃの寝癖髪で部屋に入って来た
魔女 「目覚ましが・・ 鳴らなかったよ・・」
僕 「だってそれ、デジカメじゃん」
魔女 「なに~いっ!! うわっ・・ デジカメ・・だ・・」
何はともあれ、やっと朝ご飯だ
僕らはワーワー言ってご飯を貰った
《ユリぼうず》もキャーキャー言って喜んでいる
みんなのお茶碗にご飯が入れられ
・・入れられ
ザッ!ザッ!ザッ!! ザッ!ザッ!ザッ!!
魔女 「《ユリぼうず》、何やってる!」
ユリぼうず ザッ!ザッ!ザッ!!
前の足で自分のお茶碗をザッザしてる
これが外ならお茶碗に土を掛けている、って事で・・
魔女 「そんな事するなら食べるな!!」
ユリぼうず 「ケッケケ!ケエ~ケケ!!」
《ユリぼうず》はそのまま外に遊びに行っちゃった・・
僕らは急いでご飯を食べ、外に出・・ ようと階段を下りていたら・・
今度は階段を上る《ユリぼうず》とすれ違った
・・???
部屋から《ユリぼうず》の甲高い叫び声が聞こえる
ユリぼうず 「魔女ぉ~、朝ご飯!」
魔女 「いい加減にしろっ!」
ユリぼうず 「くれないんだったら・・」
魔女 「くれないんだったら何よ」
ユリぼうず 「こうしてやるっ!」
そう言うなり、《ユリぼうず》はゴミ箱の生ゴミ用の方に飛び込んで
シ~ンとした
僕 「ねえ、魔女・・ 僕、《ユリぼうず》の行動が読めない」
魔女 「あれは、カオス理論を証明するに値するな・・」
何だか分からないけど、《ユリぼうず》は何かに値する猫らしい
マジかよ・・