ジンジン
春の展覧会のために魔女が絵を描き始めた
追い込まれた顔をしてね
それを仕上げなきゃ旅行に行けないんだって
なぜかというと、旅行から帰った次の日から展覧会が始まるから
他にも描かなきゃならない絵をいっぱい溜め込んでしまって、それも春になる前に全部描かなきゃいけないんだってさ
計画性というものがまったくない
僕 「あぁ・・ 魔女の旅行は僕の憂鬱の種だ・・」
ジョン ブリアン 「僕らだって同じだよ・・」
僕 「僕みたいに頭にハゲが出来るくらいか?」
ジョン ブリアン 「ハゲが出来てなくたって憂鬱は憂鬱だよ」
ユリぼうず 「阻止すればいいじゃない」
僕 「どうやって?」
ユリぼうず 「絵が出来上がらなきゃ旅行にはいけないんでしょ」
僕 「そう言ってたけど・・」
ユリぼうず 「だったら絵が出来上がらないように邪魔をするんだ」
ジョン ブリアン 「そうか!」
ユリぼうず 「それにはみんなの協力が必要だ!」
僕 (《ユリぼうず》の口から協力なんて言葉を聞くなんて・・)
ジョン ブリアン 「わかった!」
インジゴ 「私・・ 出来ないよ、魔女のお仕事の邪魔をするなんて」
ユリぼうず 「協調性のない猫だ・・」
水玉 「僕はやるぞ」
ユリぼうず 「こうなったら、《アゾ》も協力するんだ!」
ジョン ブリアン 「《アゾ》、わかった? 協力するんだよ」
アゾ 「ワ、ワッカッタ!」
水玉 「魔女が絵を描き始めたぞ!」
ユリぼうず 「いいか、《水玉》がアトリエのドアを開けるから、みんな一斉に突入するんだ」
僕 「待って! いやがらせに来たと思われないようにした方がいいよ」
ユリぼうず 「 『魔女がいないと淋しいから、遊びに来たぁ~ 』って感じで入ってかない?」
ジョン ブリアン 「そうだね!追い出されたらお終いだもの」
僕 「よっし! 行くよ」
水玉 「まぁ~じょお~、ここにいたんだぁ」
魔女 「わっ!びっくりした、みんなどうしたの?」
僕 「魔女がいないから淋しくなっちゃったの」
ジョン ブリアン 「魔女のそばにいたいの・・」
魔女 「まあ、みんな可愛いわねえ、あら、《アゾ》も来たの?」
アゾ 「アッ、アジョ ワァ~ キョウリョック シマスカラァ!」
魔女 「協力・・ 誰に? 何を?」
ジョン ブリアン 「《ア、アゾ》の言ってる事は気にしないで!」
魔女 「だって、協力って・・」
ユリぼうず 「ご~ろごろ! ごぉ~ろごろごろ!」
魔女 「まあ!《ユリぼうず》、ひどくご機嫌なのね」
ユリぼうず 「ごお~ろごろ! ごろごろごろごろ!」
魔女 「もうっ!きゃわゆいんだからあ~」
ユリぼうず 「ごぉ~ろごろ・・ (これで《アゾ》の発言は魔女の頭から完全消去!) ごろごろお~!」
魔女 「さて、魔女は絵を描かなきゃならないんだから、みんな良い子にしててね」
僕ら 「はあ~い!!」
ジョン ブリアン 「いよいよ今から作戦決行です!」
僕らは魔女のまわりに陣取って、絵を描く邪魔をする機会を伺った
ところが、『協力』の意味も分かっていない《アゾ》が
促されてもいないのにいきなり机に乗っかって・・
大きなスケッチブックの上を縦横無尽に歩き回った
魔女が何度どけても、しつこく乗っかって
僕らの出番がない・・
それを見ていた《ジョン ブリアン》がイライラし出した
ジョン ブリアン 「《アゾ》! 仕事の邪魔は止めなよっ!」
僕 「おい、おい、《ジョン ブリアン》それじゃ当初の目的と違ってるだろう」
水玉 「《ジョン ブリアン》、《アゾ》に任せとけ」
アゾ 「タッ、タッ・・タリラリラ~ン バシャバシャ!」
ジョン ブリアン 「止めろ! 紙が破けるじゃないか!」
アゾ 「ニ、ニャ~ン ダア~! 《ジョンブブ》、ウルシャイ!」
ジョン ブリアン 「生意気なんだよ、このオットセイめ、バシッ!!」
アゾ 「ニャ、ニャ、ニャア~ニ シュルンダ!」
ユリぼうず 「《ジョン ブリアン》、ここは僕に任せろ! 例えオットセイといえども僕を差し置いてしゃしゃるのは許さん!」
ジョン ブリアン 「それは・・ 僕の怒ってる趣旨とはまったく異なっているんですけど・・」
ユリぼうず 「いいから、《ジョン ブリアン》どけい!
ガバッ! グアッシ、グアッシ 」
アゾ 「ワギャギャ~ 」
魔女 「わあ! 何やってるの!!」
アゾ&ユリぼうず 「ジタ、バタ、デシデシ 」
魔女 「やめれえー! 紙がめちゃくちゃになちゃったじゃないかあ」
水玉 「これじゃあ、僕らの出番はないな・・」
魔女 「ふたりとも出てけっ !!」
僕 (まずいな・・猫数が少なくなったよ・・)
魔女 「もうっ 描き直しじゃないか!」
僕 (また描き始めた・・ いよいよ僕の出番だな!)
ドア 「バンッ!!」
僕 「あれっ!」
魔女 「《ユリぼうず》、また入って来たのか・・」
ユリぼうず 「パシンッ!」
魔女 「ちょっと《ユリぼうず》!鉛筆をはじき取らないでよ!」
ユリぼうず 「ガブッ!! ガブガブ! ガブガブガブガブ!!」
魔女 「わあ!なんで噛む・・!!」
ユリぼうず 「ガブガブガブ!!」
魔女 「落ち着いて噛むな、離せぇ~!」
魔女 「もう・・ 鉛筆がボロボロ・・」
僕 「すごい・・」
水玉 「魔女、やる気失くした?」
魔女 「完全に失くした・・」
僕 (うひょ~! 作戦大成功!!)