逆転の構図 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ジンジン


jinjin 08131


魔女が小さな円盤を借りて、ご機嫌だ (円盤じゃないよ!DVDだ)


それでテレビを観るんだって   (映画を観るの・・)



インジゴ 「その円盤、どうしたの?」


魔女 「くまちゃんが貸してくれたの」


水玉 「生徒のくまちゃん?」


魔女 「そうだよ」


水玉 「いつも静かに絵を描いているよね」


魔女 「ケェ~ケケッ!! みんな知らないんだ・・」


インジゴ 「なにを?」


魔女 「くまちゃんは小学生の頃は魔女のひざで絵を描いていたん

    だぞぉ!」


インジゴ 「ええー! そうなの!」


魔女 「今でこそ、もの静かな大学生だけど、子供の頃は落ち着き

    がなくて、ふざけてばかりで、魔女のひざで眠っちゃったりと

    そりゃあ大変だったんだから」


水玉 「本当に! 信じられない・・」


魔女 「それが今じゃ・・ 魔女より大人になっちゃって・・」


水玉 「魔女、わかんない事あったらくまちゃんに聞いたりしてるよ

    ね」


魔女 「・・」



僕は唯一《今日ちゃん》に襲われなかった猫だった

《ユリぼうず》以外の猫は《今日ちゃん》を恐れていて、大きくなってからはお話をしていない

一方《ユリぼうず》は《今日ちゃん》を襲っていたからお話をしていない


当時《今日ちゃん》はアトリエの主だった

《今日ちゃん》は僕にアトリエの子供たちの事をよく話してくれた



星

まいこちゃんは小学校1年生の時にここに通い出した

まいこちゃんがここに来た時は《今日ちゃん》は生まれてなくて

その事を当時ここにいた《ギズモ姉さん》から聞き

《ギズモ姉さん》はその前にいた《ホームズ》から聞いたんだ


まいこちゃんは、魔女の良き理解者で

意思が強くて、心の優しい子だ


成人式には綺麗な着物姿でご挨拶に来てくれた

そして今年は大学っていうのを卒業して、社会人になるんだって



お月様

マー君は4歳の時にアトリエに来た

泣いたり、怒ったり、きかんちんだったり・・

そんなマー君も《今日ちゃん》には優しかった

僕や《水玉》はマー君が小学校2年生の時に生まれたんだ

マー君はいつも魔女をてこずらせていた


マー君が小学校に入り、高学年になって塾に通うようになり

その塾の最中、よく魔女にメールを送って来た

塾の行き帰りに、魔女の喜びそうなものを見つけては写メで送っても来た

それはたいがい、トカゲだったり蜘蛛だったりするんだけど

時にはそれが、塾のトイレで発見した誰かの巻きグソだったりもした


『魔女はそんなものは好きじゃないぞ!』

と、魔女は怒りの返信をしていた


そんなマー君も今じゃでっかい中学生

みんなも驚くほど背が伸び、声も太くなって・・


魔女 「え~っと、この絵はどうなってるんだ?」


マー君 「魔女、どうしてそんな事も分かんないんだよ!」


魔女 「分かんないものは、分かんない!」


マー君 「絵を逆さに見るな、逆さに!」


魔女 「なにっ、これは逆さだったのか!」


マー君 「どういう脳ミソの作りをしてるんだ」


魔女 「脳ミソなんて始めっからございませ~ん」


マー君 「よくそれで生きてるな!」


魔女 「生きてちゃ悪いか!」


マー君 「世の中のためになってないだろう!」


魔女 「ああ、なってないさ! それがどうした」


水玉&子供たち 「やめなよ、二人とも!」


こうやっていつも仲裁に入るのは僕らと小さな子供たちだ


マー君は常に魔女に説教をする

あ~だ、こ~だ、と説教をする


説教をしながらガチャガチャで取ったガンダムを魔女にくれる

魔女がガンダム好きだからって、ガンダム模型セットもくれる



星

レモンちゃん長い付き合いだ

だから、この魔女ねこ日記を恥ずかしい思いで読んでいたりする

それは魔女の失敗を読む時だ


「魔女の失敗を読んで恥ずかしくなるのなんて、

                    もう身内同然だあ~ね!」


魔女はそう言うんだけどね

生徒に恥ずかしい思いをさせる先生なんて

どうなのよ・・



お月様

いさむちゃんは高校生の時に絵の大学の受験のためにやって来

高校を卒業して、絵の大学に行って

今はトーキョーで子供たちの造形教室を開いているんだよ

そして今年結婚するんだって  おめでとう!



お月様

しんのすけは小学生の時に引っ越して行った

泣きながら引っ越してったって


それがでっかい男の子になって

この前、犬を連れて家出して来た

アトリエの外の階段にしょんぼりと座っていた


なんだかんだで家に戻る事になった日


「お互い、頑張って生きて行こうね・・」


と、しんのすけは魔女に励ましの言葉を残して行った

しかし、あの場合・・

僕が思うに、その言葉を言うのは魔女の役だったんじゃないのか?



星

小さな子供だった、たまちゃんも、今年高校を卒業する

たまちゃんがまだ小学生だった時、魔女が言った


「たまちゃん、高校を卒業する時までにお金を貯めなよ、

                そしたら一緒にネパールに行こうぜ」


たまちゃんはお金を貯めた

お年玉を貯めた、バイトもした

そして3月になったら、魔女とネパールに行くんだよ



星

やはり小学6年の時にここに来たかおりちゃん

途中で引っ越してしまった

そんなかおりちゃんももう大学生


電車に乗って、駅からいっぱい歩いて通ってくれる

魔女よりずっとしっかりしている

優しい、優しいお姉さんなんだ



星お月様 僕らはもっといっぱいの人を知っているけど、

       書ききれない・・



お月様

最後に・・

《今日ちゃん》の命が短いと知って

魔女が悲しくて何にも出来なくなってしまった時


《今日ちゃん》の思い出を残そう・・


そう言って、この《ねこ日記》を始めるきっかけをつくってくれた

たっちゃん

その時、たっちゃんは絵の大学を卒業し、PCプログラマーとして就職したばかりだった


たっちゃんは高校生の時に、ここにやって来た

その後、金沢の絵の大学に入学し

大学が休みで戻って来る度に、ここに遊びに来てくれた


「先生、《今日ちゃん》のために『ねこ日記』を書いてみよう、

僕が何でも教えるから」


それはたっちゃんから魔女への精一杯の励ましだった




ドクロ 魔女がつぶやく・・


「日を追うごとに、みんながお兄さんやお姉さんに見えてくる・・ それどころか、お父さんや、お母さんみたいに思えてくる時さえあるんだけど・・」


僕  「ほんとうにそうだね」


魔女 「やっぱりそう思う? やっぱり、みんながどんどん年を取っ

    て行ってて、魔女が若返っているのかぁ・・」


僕  「なんて単純なものの考え方なんだ!」


魔女 「人間はあっという間に大人になるんだね!」



僕  「確かに、みんなどんどんしっかりしてくるよね」


魔女 「だね・・ しか~し! 彼らをしっかりさせたのは魔女だ」


僕  「何でだよ・・」


魔女 「だって、たっちゃんが言ってたもん」


僕  「なんて・・?」


魔女 「魔女を見てると、 

    『だめだ、僕がしっかりしなきゃ!』 って思っちゃうんだって」


僕  「それは魔女にとって良いことなの?」


魔女 「・・」


僕  「わかんないの?」


魔女 「そんな難しい質問・・ するな!」



僕は今日、反面教師という言葉を知りました!