ユリぼうず
昨日の事
僕 「魔女起きろっ！」
魔女 「はい・・」
僕 「病院に行くぞ！」
魔女 「その前に１時間だけ仕事・・」
僕 「なに！ どうしても？」
魔女 「それで今年の仕事は終わりなんだ、１時間だけ待って」
僕 「早くしなよ！」
魔女 「１時間って決まってるんだから早くは出来ないよ・・」
僕 「仕方ないな・・ 《ジョン ブリアン》、もうちょっと我慢しなよ」
ジョン ブリアン 「・・うん」
魔女の仕事が終わって
僕らは早速病院に出かけた
途中で、トラックに追い駆けまわされてる自動車のおばさんに
「警察を呼んで！」
と、頼まれたけど、こっちはそれどころじゃなかった
やっと病院に着いた
ここの病院は診察券というものがなく
受付の前に置いてある紙に住んでる所と魔女の名前を書くという斬新なシステムで
しかも、先生は動物の言葉が少々分かるんだ
先生 「《ユリぼうずちゃ～ん》お待たせしましたあ」
僕 「今日は僕じゃないよ！」
先生 「あれ？ じゃあ何しに来たの？」
僕 「付き添い！」
先生 「誰の？」
僕 「《ジョン ブリアン》だよっ」
先生 「まあ、《ジョンちゃん》お久し振り、去勢以来だねぇ」
僕 「そんな事いいから、早く診察！」
僕は魔女の代わりに全部言っといた
その後は、先生が魔女に難しい言葉を言って話していたから僕には分からない
《ジョン ブリアン》はお尻の穴に体温計を突っ込まれたり
（これは相当気持ち悪いんだよね・・）
お腹を揉まれたり
（これ、ちょっと痛い時あるんだよね）
最後に、お尻に注射を打たれた
すごく良い子で打たれた
それはぐったりしていたせいかも知れない・・
それから、鼻の頭にドロドロのものをくっつけられたものだから
嫌がってそれをなめた
《ジョン ブリアン》は診察中に
時々情けない顔をして僕の方を見た
僕は荷物置きの台の上から
尻尾ををくるくるまわし、目をうるうるさせて
（我慢しなきゃダメだよ）
という合図を送った
診察が終わって
お薬をいっぱいもらって帰って来た
《ジョン ブリアン》がお鼻につけてもらったのは栄養剤っていうものだって
「僕も欲しい！」 と言ったら
先生がそれをケースに入れて、僕のお土産にってくれた
ジンジン 「《ジョン ブリアン》は大丈夫だって？！」
魔女 「注射をして、お薬ももらった。
それでも良くならなかったら直ぐに検査だって」
インジゴ 「それでどこが悪かったの？」
僕 「え～っと・・ 『カンビョウセーヨ イッチョマエ』って言ってた」
インジゴ 「『カンビョウセーヨ イッチョマエ』 ・・？
そんな病気あるの！」
僕 「風邪の種類で悪質なのものらしい」
魔女 「重症の『感冒性胃腸炎』だよ・・」
アゾ 「ジョ、ジョ、《ジョンブブブー》！ ウッ、ウッ ・・
」
ジンジン 「大丈夫だよ 《アゾ》、《ジョン ブリアン》は、きっと良くなるから・・」
《ジョン ブリアン》は、晩ご飯にまた高級缶詰をもらった
注射が効いたのかなあ
少しずつだけど一生懸命に食べていたよ
僕 「僕も高級缶詰を食べてみたいな！」
魔女 「《ユリぼうず》には栄養剤があるでしょ！」
僕 「・・」
夜になって・・
《アゾ》が《ジョン ブリアン》の寝ている枕元に
何かをくわえて来てそっと置いた
それは《ジョン ブリアン》の一番の宝物の
カリカリの袋のきれっぱしだった
何日か前に
《ジョン ブリアン》が遊んでいるうちに
勢い余ってそれをテレビ台の下に入ってしまい
一生懸命に手を突っ込んで探していたっけ
今日《アゾ》はずっと
テレビの正面やら横やらから台の下を覗いていた
終いには入ってはいけないと言われている裏側に入り込んで
何やらジタバタやっていたと思ったら
これを探していたんだ・・
オットセイのおひげが、ほこりだらけになっている
《ジョン ブリアン》は、まだそれが置かれている事に気づかないで眠っている
目を覚ましてそれを見たら・・ 元気になるかな
《ジョン ブリアン》頑張れ・・
僕らもそばについているからね
元気になったらまた遊ぼう
一番右の椅子で寝ているのが《ジョン ブリアン》だよ
頭の所にある赤い紙切れは《アゾ》が置きました
僕らはこのところ毎日こうやって《ジョン ブリアン》のそばで寝ています
今、《水玉》は夜回り中、そして《涼子》は《アゾ》と僕が仲良くなったから驚いてまた家出をしてしまい、アパート暮らしです