今日は病院の日 | まじょねこ日記

まじょねこ日記

魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

ユリぼうず



yuri07923


今日は僕の病院の日だ

僕の病気は、寒くなってくると要注意だから検診を怠ってはいけない


バ~イィクゥ 音譜 バ~イィクゥ~ 音譜


僕は朝から上機嫌だ


用意が出来て、僕は車に乗り込んだ


狭い道をこちょこちょ走って、見晴らしのいい大きな道路に出る

この道路は車が少ないからビュンビュン飛ばしだ


この道沿いで

アメリカの女の人が手作りのケーキを売ってる事があって

すごく安いからって、魔女は時々それを買う


それで・・

真っすぐな道の先に

お、お、おおお 大型バイクがっ


僕  「魔女!追いつけっ」


魔女 「おおよ!」


魔女はグイ~ンと車を早く走らせ、バイクの後ろについた


僕  「横からも見たいっ」


魔女 「仕様がないなぁ・・」


魔女はバイクの横に並んで走ってくれた

僕はぶん!ぶん!言いながら助手席からバイクを眺めた


魔女 「前から車が来たらまた後ろに戻るからね」


僕  「なあ~んでぇ!」


魔女 「ここは対向車線なんだからね」


タイコーシャシェーが何だか分からないけど

前から車は来なかったから

バイクと僕らはずっと並んで走ってた


僕が助手席でぴょんぴょん跳ねて喜んでいたら

急にバイクとまじょの車の速さがゆっくりになって

僕は席の下の所に落っこちた


這い上がって外を見たら

前の方で人間の男が両方の手を振っている


魔女 「やっべえ・・」


僕  「どうしたの?」


魔女 「おまわりさんです」


そのおまわりさんはバイクに向かって

こっちに来なさ~い

と仕草で言った


魔女 「・・私は?」


僕  「魔女の事は無視してるよ」


魔女 「無視かい!」


僕  「人間の男って、たいがい魔女のこと嫌がるよね」


魔女 「・・・」


それでバイクとお別れになっちゃって・・

残念!


それからまた違う大きな道路を走っていると

今度はちゃんと魔女が、おまわりさんという人に呼び止められた


魔女 「何か用ですか」


おまわりさん 「シートベルト・・」


魔女 「最近はしてますっ!」


おまわりさん 「あら・・ してないように見えた」


魔女 「じゃあ」


おまわりさん 「一応免許証をみせてください」


魔女 「なんで」


おまわりさん 「一応・・」


魔女 「私、怪しいですか?」


おまわりさん 「・・・」


魔女 「やっぱ、怪しいんだ・・」


おまわりさん 「い、いや・・   あれ?そちらは・・猫?」


魔女 「いいえ、モグアイです!」


おまわりさん 「へえ、そういう種類なんだ」


僕  (どういう種類だよ・・)


魔女 「モグアイもシートベルトしなきゃいけないの?」


おまわりさん 「い、いや・・ で、免許証」


魔女 「しつこい!」


おまわりさん 「免許証!」


魔女 「急いでるの!」


おまわりさん 「ならさっさと免許証見せればいいじゃないですか」


魔女 「仕様がないな・・ はい、これ」


おまわりさん 「みけ子・・?」


魔女 「??」


おまわりさん 「本籍がニャカ区かっとび横丁・・? 免許の条件等に、マタタビを吸って運転しない・・ って、何ですかあ~!!」


魔女 「・・・」


おまわりさん 「しかも有効期限のところが・・」


魔女 「なめられたら無効、になってました?」


おまわりさん 「へ、平成8年生まれぇー!!」


魔女 「有り得ません?」


おまわりさん 「あなたねー!!」


魔女 「免許証、間違えました! はい、こっち!」


おまわりさん 「あなたねー!」


魔女 「時間がないんです! 

    モグアイが病気で・・ こ、この通り苦しんでいて・・」


僕  「わーわー、ジタバタ!みゅ~みゅ~、ジタバタ!!」


魔女 「病院に行く途中なんです! 

     この子にもしもの事があったらどうするんです!」


おまわりさん 「・・」


魔女 「おまわりさんっ!」


僕  「ぎゃ~ぎゃ~!ドタバタ!!」


おまわりさん 「め、免許証・・お返しします・・」


魔女 「行きますよ!」


おまわりさん 「くれぐれもスピードの出し過ぎに注意して・・」


魔女 「はい、ご苦労様!」


やっと車が走り出したよ・・


僕  「魔女、証明書間違えたの?」


魔女 「うん、他にもクロスケとドラ吉のもあるんだ!」


僕  「そんなものどうしたのさ?」


魔女 「生徒と物々交換で入手した!」


僕  「そんなややこしいもの貰うなよ・・」



それからじきに病院に着いた


もうお日様てっぺん近くになっていて

待合室にはだあれもいなかった


それですぐに診察になって

僕は油断はできないけど、なかなか良い調子だと言われた

(よくわかんないよねぇ・・)


診察室から出たら

待合室の椅子の上に、素晴しい籠に入った猫がいた

顔は《ベス》にそっくりだけど、体の毛が茶色だった


僕は早速話しかけた


僕  「ねえ、君、どこが悪いの?」


患者猫 「・・・」


僕  「どうしたのさ?」


患者猫 「・・・」


僕  「ずいぶん無口なんだね」


患者猫 「・・・」


僕  「しゃべれないの?」


患者猫 「・・・」


すると無口猫の飼い主が、その籠を反対側に向けたんだ

僕は直ぐに反対側に移動して、また話しかけた


すると・・ 飼い主がまた籠を反対に向けた

(はあ?! どういうつもりだよ!)

それで僕はまた反対側に行って話しかけた


飼い主は・・ また無口猫の顔を反対に向けた

僕はムカッと来て飼い主をにらんだ


すると


魔女 「この猫は他の猫が嫌いなんですか?」


無口猫の飼い主 「嫌いと言うか、他の猫に慣れてませんの」


魔女 「だから?」


無口猫の飼い主 「え・・?」


魔女 「慣れさせないんですか?」


無口猫の飼い主 「だって相手が乱暴な猫だったら嫌じゃないですか。 この子、高かったんですのよ」


魔女 「高かった・・? 安かったら、もしタダだったら何か違うんですか?」


無口猫の飼い主 「それは違いますでしょ」


僕  「わあ・・」


魔女 「わあ!」


無口猫の飼い主 「何ですか?!」


魔女 「それでこの子、誰ともお話しも出来ないんだ・・と思って」


僕  「お話しできないなんて、かわいそう~!」


魔女 「そうだねえ~、 さあ、《ユリぼうす》、お会計も終わったし、行こうか」


僕  「かわいそうな無口猫さん、じゃあね~」



帰り道、通りの反対側でさっきのおまわりさんがこっちを見ていた

僕は魔女の方の窓から顔を出し

魔女が手を振った


おまわりさんも僕らに手を振ってくれた