魔女の子供時代 Ⅴ ~財宝を求めて~ | まじょねこ日記

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魔女の大切な仲間の猫たちの日常をみてください

魔女



そう、魔女たちが崖の上から見たのは

3日ぶりの我が家だった



魔女はホッとして、そこでターザンごっこを始めた


みんなも一緒にやろう!


と声をかけたのに、狼と狐と二匹の猫たちは

うつ伏せになってしまい

太いツタにしがみ付いている魔女を

ただうらめしそうに、上目づかいに眺めるだけだった


あ~ぁ、つまんないの・・


帰ろうか・・


するとみんなはいっせいに立ち上がった


そこから家までは思ったよりずっと遠かった

私たちは崖から少し戻って、木の生えている斜面を下り始めた

行きにはこんなところは通らなかったな・・


斜面を滑るように下っているうちに

魔女の服はますます激しく破れてゆき

ところどころに布の切れ端をくっつけただけの姿になっていた


途中の穴にすごく大きなヘビが住んでいるのを見つけた!


ちょっとだけだっこ

わあ! おもた~いねぇ


ヘビと遊んでいると

ソーヤが大きな声で吠えて


道草もいい加減にしろ!


と魔女を叱った


ハックルとベリーも鼻にシワを寄せてシャーシャー言ったが

それがヘビに威嚇しているのか、魔女に対して怒っているのか・・

たぶん魔女に怒ってたんだろうな


それで魔女は渋々ソーヤに従った



斜面がなだらかになって

歩くのが楽になったが

家の屋根が見えなくなってなってしまった


私たちはひたすらソーヤの後にくっついて歩いた

動物達はふざけなくなって、ただ黙って歩いていた


だから魔女は大声で歌を歌った

魔女の歌は森中に響いた


けど・・ トムもソーヤも、ハックルもベリーも

黙りこくってただ歩くだけだった


「つかれたの?」


声をかけると、ハックルとベリーが


当たり前だろう・・ という目で魔女を見た


「おなかがへったね・・」


そう言うと、みんなして魔女をにらんだ



急に目の前が開けて・・

向こうに家が見えた!


突然、ハックルとベリーとトムが駆け出した


家の前に誰か立っている


歩みを進めると、それが父だとわかった


父が魔女の方に走って来た

魔女は一生懸命手を振った


体中泥だらけで

もはや服とは到底言える代物ではない布きれをくっつけた魔女の小さな肩に・・


力強く両手をかけて

父は言った



「財宝はどこだ! 財宝は!!」



魔女はその時初めて、拾った石を滝のところに置いて来てしまったのを思い出した

ベリーが川に落っこちた、その騒ぎでそこに忘れてしまったのだ


魔女は急に悲しくなって泣き出してしまった


そんな魔女を抱き上げて

父は言いつのった


「それで・・ 財宝はどうしたんだ!」