インジゴ
今日はニャチヨービだって
だからお部屋に家族が揃っていて
私たちは寒いからお部屋の真ん中で
みんな寄り集まってじっとしてた
魔女はベランダで雨に濡れながら
やはりグッチョグッチョに濡れた洗濯物を取り込んでいる
ふつう、雨が降る前に取り込むんじゃないの?
でもたしか、昨日も雨だったよねぇ
水が滴る洗濯物を取り込む必要が、どこにあるのかわからない・・
こもままだと
もう見捨てるしかないね・・ とみんなで話し合った
魔女 「さ~て、今晩のおかずは何にしよーかなぁ」
家族① 「私、野菜が欲しい!」
魔女 「あれぇ・・ 野菜好きだっけ?」
家族① 「別に好きじゃないけど野菜も食べなきゃダメでしょ」
魔女 「好きじゃなきゃ無理に食べなくたっていいのよ」
家族① 「何でも万遍なく食べなさい、って学校でも教わった!」
魔女 「それは何? 魔女の言う事より学校で教わった事を信じるっていう?」
家族① 「・・当たり前じゃん」
魔女 「あなた、学校に騙されてるんじゃないの?」
家族① 「もういいから!このままじゃ栄養が偏って病気になっちゃう!」
魔女 「今まで野菜が元で病気になんかなってないじゃない」
家族① 「じきなる」
魔女 「じゃあ、なった時にまた言って」
家族① 「いい加減にしてよ!病気になってからじゃ遅いでしょ、私はバランスの取れた食事がしたいの!」
魔女 「してるじゃない」
家族① 「毎日肉とキノコとこんにゃくだけで?
自分が好きな物ばかりじゃない」
魔女 「そおだよ、悪い?」
家族① 「悪いよ!」
魔女 「そんなに野菜が食べたきゃ、すぐ近くにあるでしょう!」
家族① 「どこに!」
魔女 「《インジゴ》 を見習いなさい! 野菜が食べたくなったら庭に行くじゃないの!」
家族① 「猫と一緒にされた・・・ 」
家族② 「やめなよ魔女、大人気ない・・」
家族① 「」
家族② 「野菜サラダくらい作ってあげたって、さほどの手間もかからないでしょうが!」
魔女 「あ~あ、わかったよ!魔女のだぁーいっ嫌いな野菜を食事に出せと、そうおっしゃる!」
それで夕方、私たちのカリカリ入れの前にうずくまっている魔女・・
私 「魔女、何してるの?」
魔女 「ちょっと・・・」
私 「それ、私たちのカリカリじゃない!」
魔女 「・・・」
私 「え・・ 何で野菜の粒だけを選んでるの?!」
魔女 「家族①が欲しがってるもんで・・」
家族① 「ちょっと!!何やってんのよ!!!」
魔女 「だって・・野菜」
家族② 「それは猫の分じゃないか!」
家族① 「いや・・ 猫の分とかいう問題じゃなくて・・」
家族② 「別に食べられないわけじゃないだろうけど・・」
家族① 「いやあぁぁぁぁ~だぁぁぁ~!!!」
魔女 「まったく、なんて我儘な人間が家族なんだ・・
わかったよ!買い物に行って来れば良いんでしょ!」
それで魔女は車をぶいぶい言わせて買い物に出てった
そして人間の夕食
魔女 「食事が出来ました!」
家族① 「・・野菜は?」
魔女 「ちゃんとあるわよ」
家族① 「どこ?」
魔女 「ほら、そこのお皿」
家族① 「なに・・これ」
魔女 「野菜」
家族① 「なに・・ これ・・」
魔女 「奮発して20種類の野菜を買って来た!」
家族① 「・・・」
家族② 「え・・? お皿のどこに野菜が?」
魔女 「ここだよ!」
家族② 「なに?? じょ・・ 錠剤かい!!」
魔女 「1日4粒で完璧だって!」
家族① 「」
家族② 「ねえ、家族①、諦めた方がいいよ。
諦めちゃえば悔しくならないからさ・・」
魔女 「諦めちゃダメだよ! まだ野菜の錠剤残ってるんだから!」
家族② 「諦めるのは野菜じゃなくて、魔女のこと!!」
私たちは今日はあんまり暇だったから
こんな人間のバカなやり取りを
一日中見て過すしかなかった