伐
それで、月曜のお昼ずっと過ぎにやっと起きた魔女は
アトリエの子供たちがこぞって病気で来られないと知るや
速攻でまた眠ってしまった
そして火曜日、俺らは全員魔女の部屋の前にいた
お日様がてっぺん近くになって・・
魔女 「いやぁ、寝た寝た! わっ・・ みんな揃ってなにやってんの?」
ジョン ブリアン 「みんなでまじょのこと、しんぱいしてた」
魔女 「なんで?」
ジンジン 「寝っぱなしだからじゃん!」
魔女 「ご飯も食べられないし喋るのも辛いんじゃ寝るしかないじゃん!」
俺 「寝すぎなんだよ!」
魔女 「寝たきゃ好きなだけ寝るわ!」
水玉 「フリーダム過ぎなんだよ!」
魔女 「あれ? なんか・・ 体が軽い?」
魔女は体重計を引っ張り出して乗っかった
魔女 「ひょえ~! 2キロ半も痩せてる!ミニスカートはいたろ!てか・・これいけるよね、睡眠ダイエットっていうの? 『あなたはただぐっすり眠るだけ・・起きてびっくり、脅威のダイエット法!』 ね、こんなキャッチフレーズで本を書くんだ。今、色んなダイエット法の本が売れているらしいじゃん、 それこそ成功間違いなしの本! みんな、高級な缶詰も遠くないよ!魔女家は大金持ち~」
家族① 「水を差すようだけど・・ 普通人間は3日も寝ないよ」
魔女 「だから、 連休の時とか夏休みとかに実践するのよ!」
家族① 「そういう意味じゃなく、動物学的に無理なんじゃない?」
魔女 「えっ! そぉなの? むりなの?」
家族① 「人間には魔女みたいに時々60時間も眠り続けるなんて出来ないんだよ。 第一、本ってなに?数行で終わる内容なんでしょ本にもなんないじゃん」
魔女 「お~い、みんな、 高級缶詰めは諦めな!」
俺 「最初っから当てにしてない・・ 金持ちのまじょなんてどんなに頑張ったって想像できないし・・」
魔女 「だけどさ、夢っていうのもネタが尽きるものだよ、だって最初はいつものように魔女は宇宙大戦争のヒーローで悪い敵と戦いまくって、どんどんやっつけて活躍、活躍、またまた活躍なんだけど、なんか最後の方になってくるとだんだんと勢いがなくなってきて、ショボイおじちゃんのグチを聞いてたり、ゴミを拾っていたりする夢になっちゃって・・ 参った・・」
俺 「どうしようもないな・・」
魔女 「ところで、今日はいったい何日?」
家族① 「13日」
魔女 「・・・ かっ、かっ、かくてーしんこくぅるしぃぃぃぃぃ~・・」
そうこうしているうちに
魔女のお友達のマキちゃんが展覧会の準備のお手伝いに来てくれて
俺らは挨拶しに行った
マキちゃんはおみやげをくれた
魔女にはラーメン5個パックと遅ればせのバレンタインチョコ
そして・・・
俺らにはなんと・・なんと 【モンプチ~鴨&舌平目テリ~ヌ】
晩ご飯に食べたぁ~
魔女の高級缶詰の話は今日だけ実現したんだ!
空の缶がまだ台所に乗っかったままだったから、俺はそれを隅から隅までなめまわしたく
一生懸命に背伸びをして、必死に右手や左手を伸ばして
缶詰を床に落っこと始めた
《ユリぼうず》はお薬ご飯で食べられないから
俺ら1缶ずつで6つの空缶を全部落とした
(これでよし!) と思って床に手を着いたら
・・・
み、みんなが1缶ずつに顔を突っ込んで・・
なめまくってるじゃないかぁー!!
《ユリぼうず》までなめてるから、俺の分が・・ 俺の分は?
てか、全部俺の物のはずなんだぞ!
ふざけんなあ~!
俺は・・ 自分がご飯の事で卑しく争ったりしない猫である事を激しく呪った
呪いまくった