先日左の股関節が痛くて歩くのが困難という方が来院。

股関節前方が痛い場合あぐらの姿勢が痛ければ股関節の軟骨由来の痛み

そうでなければ筋肉性の痛みが多いです。

この方はあぐらの姿勢が取れず軟骨由来の痛みが疑われました。

レントゲン撮影すると



左股関節に異常認めません。
そうなると以前は股関節周囲炎という筋肉の痛みか
もしくは後日他医でMRIを撮影して軟骨損傷を確認するかの2択でした。
(股関節は前方に大腿直筋、後方にハムストリング、側方に中殿筋という筋肉が付いており様々な筋肉の始点である股関節は運動不足で痛くなりやすい関節なのです。)

しかし今の医療ではエコーですぐにその両者を鑑別できます。
この方はエコーで確認すると


左股関節にめちゃくちゃ水が溜まっています。
ちなみに右は


全く水腫はありませんでした。
ということはこの方は股関節周囲炎(筋性)ではなく関節内に水が溜まったための痛み
つまり軟骨性の痛みということになります。
もちろんリウマチや化膿性疾患なども鑑別にあがりますがエコーで炎症所見も見ることができるためこの方は炎症所見がありませんでした。

あとは同部にステロイド注射で痛みは取れますが本人がご希望されず股関節は深い関節であるため深追いはせず痛み止めとリハビリで経過観察としました。

2週間後に再度診察した所


左股関節の水腫は綺麗に消失しており痛みもなくなっておられました。

関節液というのは本来関節を保護するために関節周囲の滑膜から作られ多い分は再吸収されるのですが関節が炎症をおこしたり軟骨が剥がれ落ちる時にそれが刺激となって炎症を起こすことで関節液を作れるけど吸収できないという状況が生まれ水が溜まります。(よく私はこの状態を詰まったシンクのようにと例えています。)
これは全ての関節に共通します。

ですのでレントゲンで異常がなければ痛み止めやステロイドなどで炎症が収まれば水も吸収され痛みも消失します。

以前にもお話しましたが関節注射を行う上で水腫があるまま注射をすると効果が著しく低下するので水腫のあるなしの確認は治療方法の判断だけでなく治療の成功率に直結します。

皆さんも関節が痛くて困ってる場合はお気軽に1度ご相談ください。
当院では指先含めほぼ全ての関節に対してエコー下の注射を行っております。
(エコー下の注射は部位によっては繊細な作業がいることがあり午前中は外来の混雑状況によっては出来ないことがあるので可能であれば午後の受診をおすすめします。)