『中小企業・小規模事業者関係予算について』 | まいたち昇冶オフィシャルブログ Powered by Ameba

まいたち昇冶オフィシャルブログ Powered by Ameba

まいたち昇冶オフィシャルブログ Powered by Ameba

『まいたち昇治の活動報告』 第15回

 今回は、農林水産業、建築・建設業と同様に、地方の経済を支える中小企業・小規模事業者に対する支援策について説明します。

● H25年度補正予算と一体で中小企業・小規模事業者を支援

 アベノミクスで成長戦略が語られるとき、法人税率の引下げや国家戦略特区での最先端医療産業の育成などが目立って取り上げられ、あたかも大企業だけが恩恵を受けるかのような印象があります。しかし、予算措置の内容をみると、そんなことはありません。大企業への支援だけでなく、むしろ、中小企業・小規模事業者向けにもきめ細かい目配りがなされています。

消費税の8%への引上げ決定後に編成されたH25年度補正予算は、「好循環実現のための経済対策」と位置づけられ、以下のような対策がH26年度当初予算に先立って盛り込まれています。

・ものづくり・商業・サービス業、頑張る商店街を支援する事業
(ものづくり・商業・サービス業革新補助金、商店街活性化支援補助金)
・小規模事業者、創業をめざす人を応援する事業
(小規模事業者支援パッケージ事業、創業促進補助金)
・消費税率引上げに伴う対策の相談に応じる事業
(取引先いじめ防止対策事業)
・中小企業・小規模事業者の資金繰り・事業再生支援

 また、実務面では、補助金申請の書類は原則3枚以内とするなど、企業担当者への事務負担の軽減も図られています。

● ものづくり・商業・サービス業を支援する「新・ものづくり補助金」

 H25年度補正のなかで注目されるのは、1,400億円の予算がついた「新ものづくり補助金」です。1,400億円という金額は、経済産業省のH25年度当初予算の中小企業・小規模事業者対策費1,071億円より約3割も大きな金額です。政府の意気込みがうかがえますが、その内容について説明します。

 「新・ものづくり補助金」は、正式には「ものづくり・商業・サービス業革新事業」と呼ばれます。ものづくりだけでなく、商業・サービス分野が新たに対象とされた点は大いに評価ができます。
補助の内容は、試作品・新商品の開発や生産プロセスの改善、新しいサービスや販売方法の導入など、革新的な取組にチャレンジする中小企業・小規模事業者に対し、取組費用の2/3を補助するものです。補助の上限額は1,000万円ですが、二つの特例があります。ひとつは、環境・エネルギー、健康・医療、航空宇宙分野など成長分野への投資は、補助の上限額が5割増しの1,500万円になります。もうひとつは、小規模事業者のみが利用できる特別枠(上限700万円。但し、設備投資を伴わない開発。)が設けられています。

この補助制度の仕組みから、政府としては、①ものづくりだけでなく、商業・サービス分野を重視し、②とくに環境・エネルギー、健康・医療、航空宇宙などを将来有望な分野とみている、そして、③小規模事業者に支援が行きわたるように配慮している、ということが読みとれると思います。

● 重要性を増す販路開拓支援や小規模事業者支援

 経済産業省のH26年度当初予算のうち、中小企業・小規模事業者対策費は、対H25年度当初予算比41億円増の1,111億円です。H25年度補正と一体的に実施されることになりますが、「経済の好循環実現」を標榜する安倍政権のもとでは、例えば、補助金申請者の選考にあたり、「賃上げや人材育成等に積極的な企業を優先的に採択する」方針など、「守り」よりも「攻め」を重視する姿勢がうかがえます。当初予算では、どうしても従来から継続する、企業や商店街等の資金繰り支援や活性化支援といった「守り」の部分に予算が割かれがちですが、「攻め」の政策も積極的に打ち出されています。

〔小規模事業者や創業を目指す人を支援する事業〕
・支援体制強化事業(よろず支援拠点) 25億円(新規)
専門家チームが、中小企業・小規模事業者のあらゆる相談に1カ所の窓口で対応する「よろず支援拠点」を各都道府県に設置。
・地域創業促進支援事業 7.5億円(新規)
年間5,000社以上の創業を目指し、創業予備軍の掘り起こしを図る。創業希望者に基礎的知識の習得から事業計画の作成までを支援する「創業スクール」を全国300カ所で開催。

〔販路開拓を支援する事業〕
・地域資源活用支援補助金 補助上限額:3,000万円
農林水産物や観光資源など地域資源を活用した新商品・新サービスの開発や国内展示会出展などにかかる費用の2/3を補助。
・農商工連携・異業種連携促進支援補助金 補助上限額:3,000万円
事業者が連携して行う新商品・新サービスの開発や国内展示会出展などにかかる費用の2/3を補助。

 「攻め」の政策では、経営のノウハウが豊富な商業・サービス業者やものづくり企業の側から、農林水産業等の一次産業の生産者を巻き込んでいくことが重要と考えます。一次産業の生産者自らが加工や流通・販売にまで手を広げる6次産業化も重要ですが、二次、三次産業の企業が連携して、又は主導して実施する、そしてその取組を支援して広げていくことも同時並行で進めなければなりません。

人口減少が続く地方では従来どおりのものづくりでは成長は期待できません。商店街も商業・サービス業者も今のままではじり貧になることが予想されます。しかし、それぞれの地方には地元「ならでは」の一次産業の特産物があります。「ならでは」の物産は、差別化された特長をもちますが、なかなか大量に安定供給できず、ある地域で限定的に消費されてきたもの、と言い換えることができます。その差別化された特長は、大都市や海外の消費者にも高く評価(高価格でも売れる)されるかもしれませんし、地域で限定的に消費されてきた事情(制約)も、一次産業と二次産業・三次産業の関係者が手を組めば、技術的に克服できるかもしれません。活用次第で“宝の山”に化ける可能性を秘めている地域資源なのです。

一方、商業・サービス業者は消費者への販売・マーケティング、商品企画、流通に詳しく、ものづくり企業は技術開発やコスト削減に長けています。そこで、この地域資源を一次産業の生産者を巻き込んで、商業や工業の視点から見直し、新商品や新サービスの開発に挑戦しよう、というやり方です。これが、一般的には異業種連携あるいは農商工連携といわれますが、今こそもっとこの取組を活発化させる必要があると思います。

 中小企業庁が窓口となって実施される、小規模事業者や創業を目指す人を支援する事業や販路開拓を支援する事業は、当然のことながら、異業種連携による新商品や新サービスの成功を約束するものではありません。しかし、こうした挑戦は、参加する事業者や一次産業の生産者のやる気に火をつけ、地方に元気をもたらすでしょう。「地元ならでは」の物産が宝の山に成るにこしたことはありませんが、このような挑戦を経験した人たちが業種を問わず輩出するようになれば、その人たちこそ宝です。

引き続き、中小企業・小規模事業者むけの施策が円滑に利用され、地域活性化につながるよう、運用面や予算面での改善・拡充に努めてまいります。