プロとして洗剤を使用するに当たって、安全性と環境負荷に対する配慮は非常に重要です。特に安全性は今後益々重要な事項になってくるでしょう。一昨年の労働安全衛生法の改正で洗剤の取り扱いについて、作業者は必要な場合は保護具を付ける事が義務付けられました。そして、私の講習でも洗剤の取り扱いの際に、最初に強調するのは、自分と洗剤を直に触れない様に取扱う事です。即ちグローブ着用がプロとしては当たり前の事柄になったのです。
そして、洗剤を扱う際に危険度を表すものとしてGHSマークが活用されるようになっています。作業者に対する危険度を表すものとして以下の3つが挙げられます。

!マークは危険度の少ない物になっていますが、それ以上危険度の少ない物はGHSマークのついていないものです。従って、毎日使用するものはなるべく危険度の少ないマーク無しの物が良い事になります。
さて、私達はプロである事から通常使用するのは濃縮タイプの洗剤です。この手の洗剤は希釈前と希釈後の安全性は全く異なります。以下の例を見てください。ピロキシーやトライベースは環境対応の万能洗剤で最も厳しい環境ラベルタイプⅠ「グリーンシール」を取得していますので、かなり安全性も高いものですが、GHSマーク!が付いています。隣のプロフェクト64は除菌洗剤ですので、それより強い注意が必要な
が付いています。即ちこれらの洗剤は希釈前の濃度の濃いものには取り扱いに注意が必要な事を表しています。
しかし、どの洗剤も希釈後のSDSを見れば分かるように、希釈後は「ノーサインワード(なし)」になっています。この状態では安全性に関しては安心して使える事になります。

洗剤の安全性を問う際に忘れてならないのは「濃度」です。洗剤は化学物質ですので、使用の際の濃度が非常に重要です。誰でも知っている過酸化水素(H2O2)を例に上げてみましょう。過酸化水素3%溶液は皆さんが良くご存じの「オキシドール」です。消毒薬として、親しまれています(最近は使用する人が少なくなりましたが)。傷口に使用すると物凄い勢いで泡を立て消毒します。米国ではこれを消毒用やチョットした汚れ取りに家事でよく使います。
これは5%以上になると規制の対象になります。6%の過酸化水素の火傷(やけど)の動画を見たことがありますが、皮膚が真っ白になり、非常に酷いものでした。
即ち、濃度が3%→6%と倍になっただけで、危険度に大きな差が有るのです。化学物質を取扱う上で大切な事はその物質自体の安全性(即ち質)と共に、濃度(即ち量)が問題になります。薬と同じで私達にとって病気に際には非常に役に立ってくれる薬も量を誤れば却って体に害をなす事に成ります。
上記の様に、本来希釈すれば安全な洗剤も濃度が高い場合には注意が必要になります。同様に、希釈し濃度が薄まった洗剤は安全なのです。濃度が濃い状態での安全性を問題にする人がたまに見かけられますが、プロとしてはそうした考え方はすべきではありません。希釈後に安全な洗剤を濃い状態での安全性を問題にして使用しないのは、医者が薬を使わないで処置しようとする(そんなことはあり得ないのですが)のと等しいと考えます。私達はプロとして仕事に向かう際には科学的に行動したいと思います。但し、当たり前の事ですが、希釈前の高濃度の洗剤はこれもやはりプロとして注意深く扱いましょう。そうした事もあって、自動希釈器の有用性をいつも訴えています。洗剤を扱う際には濃度の問題を頭にいつも入れておくことは、非常に重要な事柄だと断言致します。

