労働安全衛生法施行について | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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このところの講習では今年4月から施行の労働安全衛生法を主なテーマにしたものが多いのです。東京でも今月の18日(2H)、大阪では24日(3H)、金沢では26日(こちらは60分=オイラーさんの展示会内)になります。
このテーマを調べていくと、一つの大きな流れを感じます。この問題では昨年から取り組み始めていますが、今年になり、意見交換会に出たり、実際に化学物質管理者の資格を取ったりしたのですが、なるべく作業に直結するような講習にしようと、資料を調べ続けているのです。
元々は国連のGHSが大きなスタートになっているようです。化学物質は世界的に流通しており、その「使用・流通・廃棄」において、各国がバラバラに取り組んでいては非常に効率や効果が悪いことから、GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)の実施促進が2003年に決議されたのです。


 

我が日本でも安全データシートがそれまでのMSDSから、GHSに対応したSDSに2012年3月に移行されました(正確には制定なのでしょうが)。かつて、それまでMSDS(製品安全データシート)と言っていたものがSDS(安全データシート)と急に呼ばれるようになり、少し戸惑ったのですが(弊社SDSは殆ど変わらなかったのです=当時から世界的だったので)こうした背景があったのです。
一方、化学物質による労働災害も大阪の印刷会社などで起き、化学物質によるばく露が大きな問題になり、また従来は規制がピンポイントであり、世界の潮流から遅れていることから、今回の様な包括的な施行がされることになったのです。
私自身、30年以上前から米国に通っていたのですが、当時から洗剤(化学物質)を触れる際には手袋を必ず着用させられましたし、場合によってはゴーグルも当たり前の様に装着したいましたので、日本との差をいつも強く感じていました。プロとして、化学物質の被爆を避ける事が当たり前と言う世界です。
また、厚生労働省の労働災害のデータでは、中小の事業者の事故率が非常に高い事(1~29名規模で70.8%)、中堅の事業者(100~499名規模が23.3%=有害物等の接触)が取り扱う化学物質が増えることで、有害物質の接触事故が増える事が示されており、こうした事から自主的かつ包括的な施行がされたのだと思います。


 

今回の施行によって、新人に対するリスクについての教育が必須になりますが、その際に是非とも洗剤自体の教育もすべきだという事が今回の講習の主な趣旨になります。弊社ではもう長い間洗剤教育を大きなテーマにして、講習活動をしてきました。洗剤を上手く使いこなすには、基礎教育が必須だというのが世界の常識なのです。今回の施行では事業者はSDSの読み込みがこれまた必須なのですが、SDSは言ってみれば、取扱説明書であり、プラモデルで言えば設計図の様なものです。これが無ければ、上手くいかないのが当たり前で、読み込みは本来、使用前に当然行われるべきものなのです。
そして、その取扱いに対する注意の上で、使い方や、特徴を同時に教える事で、安全性と生産性が同時に向上することになるでしょう。我が国の洗剤使用率(自分に使う石鹸やシャンプー以外の洗浄剤と言う意味)はヨーロッパの先進国の半分以下という事を何度がこのブログでも書いていますが、今回の施行は洗剤を知り、活用する大きな転機にすべきだと考えています。そのテーマを講習に盛り込めるよう、今も四苦八苦しているのです。