カーペットメンテナンス | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

最近カーペットメンテナンスの話題が良く出ます。質問やご相談でも、しばしば聞かれます。そうしたご相談で、そのケースを見に行く機会があったのですが、総じてメンテナンスのレベルが上がったと感じています。汚れと言ってもかつての様な酷い汚れではなく、うっすらとしたケモノ道や、変わったシミについてと言った感じです。

かつての我が日本のカーペットメンテナンスは結構問題があり、私の友人の外国人が日本に来る度に日本の事を誉めるのですが、カーペットメンテナンスに関してはボロクソで「カーペットメンテナンスをもっと売れ!」と言っていました。

カーペットメンテナンスで私が真っ先に主張するのは「カーペットは三次元の世界です!」と言うものです。他の床材は平面(二次元)ですが、カーペットは基布とパイル(毛)の二重構造になっており、毛足が立っていますので、立体構造になっています。その為、床汚れの大敵である土砂がパイルの中に無いり込み、上からは見えないので、一見すると汚れが無いように思えてしまいます。弊社のアムテック博士の動画では、博士がパイル上に砂を撒き、手で軽く撫でる事で、砂が見えなくなってしまう所をお見せします。そして、その上を歩くのです。砂はヤスリと一緒ですので、パイルを傷める様を想像させるのです。カーペットメンテナンスでは土砂の除去が先ず第一で、その為にはカーペットバキュームが必須なのです。

カーペットの土砂の除去は土足が文化の外国ではごく当たり前の事になっています。埃っぽいカーペットでは直ぐ空気環境が悪くなり、咽て(むせて)しまうからです。我が日本は下足の文化ですので、そうした嫌な思いをしたことがないので、カーペットの土砂の除去の必要性がなかなか得心出来ないのです。繰り返します。カーペットメンテナンスでは土砂の除去が必須です。

その為にはスイーパーでは物足りない事を知っておく必要があります。カーペット上の汚れを取るだけではダメなのです。パイルの中に入り込んだ土砂を除去するためには、掬う(すくう)のではなく(スイーパーやハンドクリーナー)ではなく、吸い取る(バキュームする)必要があります。叩き出しのブラシ付きであればもっと良いでしょう(アップライト型バキュームです)。

もう一つ理解すべき事は汚れが移動しない事です。通常の床(平面=二次元)では汚れは空気の流れに乗り移動し、隅に寄ります。その為、隅の汚れ取りが非常に重要になります。

「四角い部屋を丸く掃いてはいけない。」のです。

しかし、カーペットメンテナンスでは、対象となる土砂は移動しません。従って、土砂の落ちる所、即ち人の通ると所(path=パスと言います)にある訳です。そこで、カーペットバキュームは人の通る所(パス)を中心に掛けていきます。

「通常はパスだけ、時々隅も」と言った感じです。

二次元の床では隅の処理は必須です。カーペットでは隅にこだわるのは合理的ではないのです。特にプロのメンテナンスは時間が勝負ですので、こうした感性をしっかり持つことが大切です。

もう一つ大切な事を覚える必要があります。カーペットの渾名の一つに「sink=シンク(ごみ溜め)」と言うのがあります。カーペットは上記の様に三次元の世界ですので、土砂を溜め込みます。そして、一杯になると、あふれ出すのです。そして、次の場所がまたシンクになり、またあふれ出し、次々に広がっていくのです。ですので、いつも外部から入る場所を綺麗に(ゴミ箱を空にしておいてやるという意味です)しておくと、汚れは広がらない事になります。室内の土砂の90%は靴の裏から運ばれます。そして、カーペット等のマット状の物は、最初の3.6m~4.5m(12フィート~15フィート)、同じ足が2度確実に触れる長さで、靴の裏の土砂の85%が除去出来ると言うデータがあるのです。マット管理の必要性はまさにここにあります。室内の出入口に上記の長さのマットを敷いておき、そこのバキュームをいつもしっかり行っておけば、カーペットバキュームの必要性の85%を削減する事が理論上可能になるのです。

しかし、マット管理をする際には、先にも述べたことをしっかり理解しておく必要があります。マットを敷きっぱなしでは、シンクを手前に持ってきただけですので、効果はありません。マットを通常のバキュームスケジュールよりも頻繁にバキューム掛けする必要があるのです。商業施設であれば、カーペットバキュームが毎日であれば、マットバキュームは3~4回・・と言った感じです。これを実施して初めて効果が上がるのです。

バキュームが大変な場合は、機種を選びましょう。標準作業時間は以下の様になっています。

最も一般的で効果があるのはアップライト型です。作業効果は一番上がります。出入り口付近や汚れが激しい場所はこのタイプが良いでしょう。広範囲な場所を確実に綺麗にしようとしたら、最適なのは、大型の物です。作業効果・効率等は群を抜いています。それ程でもない一般的な場所でお薦めなのはバックパック型です。これを使用する場合はノズルを横に振る「サイド・ツー・サイドモーション」を覚える必要があります。直ぐに覚えられますので、やり方を知っている人に聞きましょう。弊社動画を見て頂いても直ぐに分かります。

以上でバキュームの一般論はお終いです。あとは日常的に必要なのはシミ抜きです。シミ拭きはしっかりしたシミ抜き剤を使用し、シミにスプレー後、白い布を押し当て(踏んづけても良いのです)、汚れをシミ抜き剤に載せて、白い布に移すイメージで抜いていきます。シミ抜きは以上にしておきましょう。これ以上長くなるといけないので。ご質問があれば、弊社にご連絡下さい。

あとは定期的な清掃ですが、日本では

日常→定期(カーペットシャンプー)ですが

日常→中間(スピンボネットやライトエクストラクション)→定期(カーペットシャンプー)の方が合理的と言えるでしょう。機会があれば、また書きます。