今日で今年最後のブログになるでしょう。今年は色々なことがありました。さて、ここの所で私が最も注目しているのは、我が日本の社会人教育の問題です。私の友人でビルメンテナンス協会の講師でもあり、現在外国人雇用を協会の先頭に立って活躍している矢野智之氏からの話で、大変刺激を受けました。彼の講習はビルメン協会で来月(1月20日)WEB講習があるようです。興味のある方はそちらをご覧ください。
さて、日本で洗剤の基礎教育が徹底しておらず、その為現場で苦労する方が多いのはいつも嘆いている事柄で、「日本のガラパゴス化」をいつもここでも取り上げています。世界情報が入って来にくい環境がこういう状態を招いているといつも言っており、それに対する警鐘を常に発信してきました。しかし、矢野氏の指摘で、外国人から日本が社会人教育に関する関心が低いと言う評価とそれに対するデータを見せられ、ハッとしました。日本の会社の社員に対する教育費が異常に低いのです。早々、ネットで検索し、厚労省の発表を見つけました。以下のようになっています。
日本の会社が自社の労働者の能力不足を訴えているのが81%にも上り、トップなのです。米国でも40%、北欧・ヨーロッパでは10%台の低いポジションです。しかし、私の好きな経済アナリストのデービッド・アトキンソン氏のデータでは日本の労働者の質は世界トップであり、他のデータを調べても、殆どベスト3~5以内に入っています。質は高いのに、実際の評価が酷く低いと言う現状にビックリしました。
次の図の各国の黄色い部分が直近のデータですので、そちらを注目してください。会社が社員に掛けている教育費の対GDP比です。米国が2.08%、フランス1.78%、ドイツ1.20%、イタリア1.09%、英国1.06%、そして我が日本は0.10%と圧倒的に低くなっています。米国の20分のⅠ、英国に比べても10分のⅠです。
日本の会社が社員を大切にするのは、私の中では(多くの人も同様でしょうが)殆ど「当たり前の事」だったはずですが・・・。
なるほどと納得したのが、そこに「気付き」が無いのではないかと言う結論てす。
我が日本人はしばしば考え方が同じ方向を向いてしまう事が良くあり、その状態で何ら不思議や不都合を感じずに過ごしている事が良くあります。ましてや、外国の事情が良く分かっていませんから、諸外国が必死になって社員教育をしている現状を知る機会が欠落しています(かく言う私も同じです)。確かに、私達が付き合っている外国のトップ連中は概ねMBA(経済学修士)やドクターを持っており、そうした人材が我が日本のトップに圧倒的に少ない事は確かに不利である事は感じていました。しかし、もっと手前と言うか、足元の所での努力や傾注に欠けていた可能性があることに驚いています。
そこで、来年(或いはもっと継続的になるでしょうが)教育の大切さと社員教育を弊社の大きな柱にしようと思っています。メンテナンスには基礎的な教育が不可欠です。洗剤を上手く使いこなすには、洗剤に対して基礎的な教育を受けておく必要があるのは世界の常識です。私達プロが使うプロ用の洗剤はそれぞれ非常に個性的で、業務遂行に当たって、差別化が簡単に達成されるよう設計されています。そうでないと売れないからです。従って、洗剤使用に当たってはその洗剤の特徴を充分に生かし切れるかどうかが生産性に大きく関わるのです。しかし、最低でも覚えておくべきポイントはそれ程多くはありません。弊社の洗剤の基礎講習は30分~1時間です。勿論深めればキリがないのは当たり前ですが・・・
広く、出来ればメンテナンスに当たる全ての人が最低でも弊社実施の基礎講習程度の知識をもっていただきたいと思っています。
- 洗剤とは何か、洗剤の働き
- 洗剤の強さ(pH値)
- 酸とアルカリどちらを使うか
この3つは必須です。
上手く使いこなすには
「臨界ミセル濃度(洗剤のベストポイントで使いこなせ!)」
「リンスとノンリンス(水拭きと水拭き不要の違いが重要)」
「ファインミストの除去(細かな汚れがメンテナンス効果・効率の決め手)」
の3つを覚えておけば更に良いでしょう。
教育には当然レベルによるステップアップや深みが必要になりますので、本社員やリーダーの方には更に様々な事ガラの知識が必要ですし、現場で作業に当たる方は、場合によっては簡易な教育で取り敢えず抑えておくと言った行為も必要でしょう。
こうした分野は弊社の最も得意とする分野です。様々な教育冊子や資料、動画も自由に作成し続けています。来年は早々にリアルの講習会を始めようと、昨日弊社お知り合い先にメールでのご案内を出しました。来年は教育を軸に活動しようと思いますので、リアルやWEBで皆様とお会いできることを心より楽しみにしています。
良いお年をお迎えください