病院清掃④覚えておくべき知識D.「環境職毒剤の種類」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

病院清掃④覚えておくべき知識D.「環境職毒剤の種類」

 

前回の続きです。環境消毒に使う薬剤の説明をしていきましょう。環境に対する消毒剤として使われるのは以下の4種類です。上から強い順になっています。

1.アルデヒド系(代表 ホルムアルデヒド)

2.ハロゲン系 (代表 次亜塩素酸ナトリウム9

3.フェノール系(代表 クレゾール石鹸)

4.4級アンモニウム塩系/過酸化水素系(代表 弊社感染防止洗剤/ピロキシー4D)

 

1のハロゲン系の代表はホルムアルデヒドですが、分かり易いのはこの水溶液であるホルマリンでしょう。理科教室の標本等にいる薬剤です。標本を腐らせる事がないのです。この薬剤は現在では人の住むところでは殆ど使われる事がありません。かつては建材としても、使用されていたのですが、今は禁止されています。現在では養魚場や養鶏場で使用されています。

2のハロゲン系の代表は次亜塩素酸ナトリウムです。塩素系漂白剤としても知られています。かなり強力な殺菌効果を持っているのですが、水に分解し易いのが特徴です。日本では良く使われていますが、海外では主力ではありません。先ず、金属に対する腐食作用があります。また、漂白剤なので、色抜けを起こす事もあります。その為、建材には使い難いのです。この薬剤は水で良く分解しますので、主婦が使用しても、流しでは大量の水が使われるため、素早く分解し、安全性が高まるのです。しかし、逆に言うと、水で薄めてから直ぐに使わないと、効果がないのです。通常は薄めてから1時間もすると効果が無くなってしまいます。病院清掃のご相談を受けた際に、この薬剤が使われているケースがかなり多いのですが、私が「いつ薄めましたか?」と聞くと「昨日です」と答えられるケースが良くありますが、それでは水拭きと変わりません。感染防止に使おうとすると、薄めてから使用までの時間によって効果が左右されるので、エビデンス(証明)が取れないのです。そして、強すぎるのです。この薬剤はカビ取り剤としても良く使用されていますが、カビ取り剤を室内で使用すると、その部屋はしばらくの間(場合によっては2~3日)目が痛む事があるのは皆様よくご存じです。本来は非常に強い消毒薬なのです。従って、何か分からないような緊急時に効果が強い事から使用されると言うケースが本来の使い方なのです。日常的に使用する場合にはもっとマイルドで使い易い薬剤が現在では好まれているのです。

3のフェノール系の代表はクレゾール石鹸です。昔は病院へ行くとどこでも環境消毒につかっていましたので、独特の臭いがしていたのですが、今では殆ど使用されなくなりました。米国では新生児室には使用禁止になっています。日本では排水に対して、規制がありますので、使用する際にはその注意が必要です。

4の4級アンモニウム塩は第四級アンモニウム塩とも書きます。所謂逆性石鹸の事です。もう一つが過酸化水素です。現在はこの二つが感染防止洗剤の主流になっています。大胆に纏めれば、片方は石鹸で、片方はオキシドールの薄いものと言う訳です。環境にも、人間にも優しく、効果もしっかりあるので、この二つに収束されているのです。4級アンモニウム塩は種類が多いので、一括りにせずに、それぞれの効果や安全度を確認する事が必要です。