病院清掃④覚えておくべき知識 B. 「微生物の種類と増え方」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

病院清掃④覚えておくべき知識 B. 「微生物の種類と増え方」

 

今日は「微生物の種類と増え方」です。

環境衛生上、微生物は3種に分けて考えます。一般細菌、真菌、ウィルスです。

一般細菌は図の様に、細胞壁があり、細胞質があり、核があります。一般細菌の増え方ですが、核内の遺伝子が寄り集って染色体になり、コピーし合います。そして、真ん中がくびれ始め、やがて二つに分かれます。

一般細菌は状況が良いと15分で1匹が2匹になります。この伝で行けば、5時間後には100万匹になってしまう計算になります。

それでは、その100万匹が生息するにはどの位のエリアが必要かと言えば、針の先に載ってしまうのです。油断のならない相手です。

真菌(カビ)は植物が枝葉を増やすように、増えていきます。

最後がウィルスですが、良く「ウィルスと一般細菌はどう違うのですか?」と言う質問が出るのですが、大きさが圧倒的に違います。ウィルスは上記一般細菌の遺伝子ついて述べましたが、その遺伝子の一部が殻を被った形状をしているのがウィルスです。従って核が無いのです。その為、生命活動に必要な核がありませんので、ウィルスについては、「生きている」とか「殺す」と言う表現が正確性を欠くケースがある為、「不活性化」と言う表現を用いる事が多いのです。

増え方はウィルスは細胞内に入り込むと、核に迄入り込みます。そして、核の中の遺伝子を「盗む」のです(米国人はこういう言い方をします)。核内の遺伝子を利用し、自分と同じコピーを一杯作り、爆発する事によって増えていきます。従って、ウィルスは自分だけで生きていくこと(この言い方も正確性を欠くかもしれませんね)は出来ません。宿主の外に出ると通常は数時間で不活性化します。不活性化し難いのがノロウィルスと言われています(2週間程度不活性化しないと言う記述もあります)。今回の新型コロナウィルスですが、実験室内では(数は少なくなるものの)72時間と言うデータもあります。

環境消毒薬に対する耐性ですが

一般細菌<真菌<ウィルス・結核<芽胞菌

の様になっています。左から右に殺し難くなっています。

こうしたことを念頭に、感染防止洗剤を使用していくわけです。

注:インストラクタ―レベルの方は、グラム陽性、グラム陰性位までは覚えた方が良いでしょう。病院清掃ではグラム陽性の代表として「黄色ブドウ球菌」グラム陰性の代表として「シュードモナス」、この二つのEPA登録(完全不活性化証明)を取っている洗剤が最低限必要(Hospital Grade)になります。