病院清掃について① 「病院は特別な場所」
病院清掃についての質問があり、疑問に思ったことがあったので、感染制御衛生管理士(ICCC)認定講習会の今年の資料を知り合いから貰い、説明を受けたのですが、ある意味衝撃を受けました。パワーポイントの資料ですが
手指衛生について(簡単に言えば手洗い方法) 15項
個人防護具の着脱について16頁
吐瀉物処理について13頁
病室について 8頁
になっており、実際の清掃についての情報が少な過ぎる様に思われます。これでは、病院サイドとの打ち合わせにも、或いは実際の作業にも支障が起きるのではないかと危惧します。
そこで、このブログで、病院清掃での必要な情報を付加していこうと思います。今回は第一回目として
「病院は特別な場所」
を書いていきましょう。
病院清掃をするにあたって、最初に心がける事は、病院清掃を普通の建物の清掃と同じであると思い込んでは支障があると言う事です。病院は特別な場所と考えましょう。勿論お掃除ですので、清掃の基本的なテクニックが変わると言う事ではありません。酸が必要な場所とアルカリが必要な場所が異なるなどと言うわけではないのです。しかし、注意点が異なります。テクニックとしては同じでも、注意点が違うため、そこをしっかり認識する必要があります。
病院では感染防止の知識と実践が不可欠になります。上記の講習会でも、感染に対する指導に力を入れていることが分かります。基本的に、自由な出入りの利かない閉ざされた空間で、多くの人が集まる場所は感染が起きやすいのです。学校や刑務所がそれの代表格になりますが、ここは感染防止清掃の対象なのです。病院はもっと条件が悪いのです。病気の人が来るわけですし、易感染者(いかんせんしゃ)と言って非常に病気にかかり易い人も多く居ます。もう一つ大きな問題は、私達の身の回りには多くの微生物が要るのですが、通常に存在する微生物を常在菌と言います。これらの微生物は普段は私達とバランスを取り合っていますので、問題を起こす事はないのですが、その中に、相手(宿主)の体力(免疫力)が落ちると感染症を引き起こすものが居るのです。日和見感染(ひよりみかんせん)と言います。この微生物の厄介な所はどこにでもいる普通の微生物だと言う事です。そうしますと、病院内で防ぐべき微生物が2種類ある事になります。一つが外から持ち込まれる感染性微生物(通常はインフルエンザや、今でいえば新型コロナウィルスが代表格)、もう一つがどこにでもいて、既に病院内に居る微生物(代表的なのはMRSA)です。従って、外からのものを防ぐと同時に、院内の微生物を広げるような事をしてはいけないのです。
従って、感染防止の知識と実践が必要になります。
安易な水拭きはいけません。感染を広げてしまう可能性があるからです。感染防止の為の手洗いをする際に、水拭きで良いと言う人は今では殆どいないと思います。今回の新型コロナウィルスの問題で、感染防止の第一歩の情報が徹底しているからです。建物も同じです。病院清掃で平気で水拭きする事は、手洗いの際に石鹸を使わないのと同じことなのです。「病院は特別な場所」と言う意識を徹底する事が病院清掃のスタートの第一歩なのです。
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病院清掃ではありませんが、少し簡単な感染防止清掃のYouTube(30分)も弊社HPからご覧ください。