先週末、ある大手会社の社内講習会を実施しました。コロナの所為で、リアルの講習会は久しぶりでしたが、やっぱり、実際のお客様の前での講習はWEBよりも、実感があり、良いものですね。
今月末にも、弊社主催の講習会を東京ビルメンテナンス会館で行う予定です。3時間で包括的なものになる予定です。
さて、講習会内でも質問が出ましたし、他でも良く聞かれる事なのですが、「トイレに手を入れずにお掃除するよう指導しているのですが、中には、聞き入れない人がいるのですが、どうしたらよいでしょうか?」と言うものです。
トイレに手を入れてお掃除するのは先進国では日本だけです。トイレに手を入れゴシゴシ擦りながら、清掃するのは、かつて我が日本では、トイレ用の酸性洗剤には塩酸ベースのものしかなく、それに対する教育方法も確立されていなかったため、事故が続出し、トイレ清掃に酸性洗剤を使う事が業界として、否定されていた名残なのです。中性洗剤でトイレ清掃をする為、洗剤の力が足りないので、ゴシゴシと力を入れて擦るしかなくなるのですが、それが正しい方法とされていました。弊社の人気商品のバイオボウル(天然柑橘系クエン酸のバイオ洗剤)が出回る事で、他のメーカーも塩酸以外のトイレ用洗剤を発売するようになりました。今ではクエン酸や乳酸など安全な酸性洗剤が出回り始めていますので、酸性洗剤使用はごく当たり前の事になりました。
酸性洗剤を使用すれば、便器内に手を入れる必要はもうないのですが、その風習だけが残っているのです。一つには便器用ブラシ(弊社製品はボウルスワッブと言います)の使用方法が良く理解されていない事があげられます。先ず、こうした便利な器材がある事を理解しましょう。この製品は非常に良く出来ていて(毎日使うプロ用のものです)、裏と表がありますので、必ず表で擦る事が大切です。そして、先端に角度が付いており、梃子(テコ)が効きますので、長めに持つと力が入ります。また、陶器のへこんだ部分に対しては、強く押し付ける事で、十分に奥まで入り込むようになっています。もし、読むだけでは理解しにくい場合は弊社動画をご覧になるか、弊社までご連絡ください。知ってしまえば、簡単なテクニックです。
次にブラッドボーンパソゲンズ(血液由来病原体)の問題もあります。血液・体液からうつる感染症で、米国ではOSHAが早くからビデオ等で様々な事業所に注意を喚起しています。警察官(逮捕やホールドアップする際に容疑者に触れるからです)や消防士、医療関係者、メンテナンス関係者などが、自分たちがこの病気にかからない様に如何に注意しているかを述べていくのですが、手袋を着用する、血液・体液に如何に触れない様注意するか強調しています。
便器は血液・体液が出る場所です。そこに手を入れると言う事は、好ましくありません。目が近くなりますし、撥ねも気になります。また、手袋が破けていない様気にする必要があるのです。
最後になりなすが、今後外国からのお客様が増える事が考えられます。外国のお客様からは手を入れてする清掃は多分歓迎されないでしょう。プロ的に見えないからです。丁寧とは見られないでしょう。
上記内容を説明しながら「こうしたやり方を変更を厭わない柔軟な人から教え込み、手を入れずに簡単にお掃除が出来る事を示し、広げていったらいかがですか」と言うのが私の答えです。強制的に実践しようとすると、フリクションが激しく、業務改革自体が頓挫する可能性があるのです。自分の古いやり方を変えようとしない人がグループの中におり、抵抗勢力になると言うケースは弊社も様々な場所で遭遇し、少なくない件数で散々な目にあってきました。
出来る事を目にすれば、自然に便利な方に人は向いていきます。導くと言うニュアンスが最も適正なのだと思っています。根気が要りますが、上手く行けば、大きなゴールが待っているのです。