環境消毒に要求されるもの
環境消毒の対象微生物は厳密にはラベルに書かれているものになります。しかし、全ての微生物の承認を受ける事は出来ませんので、環境消毒の有効性に対する考え方は先に述べた通りです。(参考※)
病院清掃レベルでの環境消毒は2つの微生物がテスト済みである必要があります。黄色ブドウ球菌と緑膿菌です。黄色ブドウ球菌はグラム陽性であり、緑膿菌はグラム陰性です。即ちグラム陽性菌にもグラム陰性菌にも(両方)効果があると考えるのです。
一度拭きのEPA登録洗剤は5%血清液でテストされています。少し汚れた水での有効性を証明する為です。
結核は空気感染ですので、環境消毒薬が実際に、感染に対し有効と言う訳ではないのですが既述のように油膜を持っており、除去し難い細菌です。その為、結核菌は環境消毒の指標として使われるのです。殺しにくい結核菌を殺せれば、他の物にも有効と考えられるからです。中間レベルの環境消毒の指標(ベンチマーク)になります。
参考※「ジョン講習会微生物分類②」
黄色ブドウ球菌とMRSAについて:
EPA登録に両方取っていればよいのですが、登録するには第三者によるテスト費、EPAへの申請費などが掛ります。そこで、黄色ブドウ球菌のEPA登録を取っていれば、MRSAにも有効と考えて良いのです。なぜならば、抗生物質は細菌が接種し、核を破壊するのですが、環境消毒薬は細胞壁を直接壊してしまうからです。効き方が違うのです。例えてみると、抗生物質は私達が飲んで聞く毒で、環境消毒薬は大きな刀でバッサリ切られる感じです。