カーペットはメンテナンスが必要① | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

カーペットメンテナンスの教育資料の必要性があり、作成しようとしています。第一義的に言えば、社内資料としても必要だからです。ごく親しい方に対しても、カーペットメンテナンスの概略をお伝えする事は大変有意義であると考えていますので。しかし、こうして言い訳のような形をしているのは、このメンテナンスに関しては、かなりの分かれ道や異論がある所為で、その議論に巻き込まれたくないのです。道が違えば、議論自体が無意味なのです。従って、この稿は非常に、身内的、狭い範囲の物としての発表とさせていただければと思います。

カーペットメンテナンスこそ、私に掃除とメンテナンスの違いをハッキリと実感させたものでした。そもそもカーペットにはバキュームが必須と言う事を米国で教え込まれた事で(30年以上前のことです)、そのころの我が日本にはそれ程優れたバキュームクリナー(真空掃除機の事)がありませんでしたので、例えば大型のバキュームペーサー30などが非常に競争力を待つのではないかと大きな期待をして市場に臨んだのですが、まったく期待外れでした。

我が日本ではカーペットをバキュームするというメンテナンスの基本中の基本が理解されておらず、いくら「最速でバキューム出来ます」と力んでも、やらないよりは早く出来る事はないからです。カーペットが酷い状態であることが理解されず、カーペットは土足では傷むものと言う認識が一般的でした。土足のカーペットはせいぜい5年が寿命と言う感じです。カーペットを長く良い状態で保つよりも、バキュームを省略する事で、メンテナンスコストを抑える方が市場性があったのです。そのころ外国から来た友人(これは何度もこのブログでも書いていますが)が日本を誉めつつ、カーペットだけは例外で状態が良くない事、従ってチャンスがある事を、何度も強調していました。しかし、例えば、高級ホテルや大手会社の役員室などでは高級なカーペットが、ケモノ道は勿論、シミ一つなく、長い間保たれているのが世界では当たり前であることが殆ど理解されていなかったのです。高級ホテルも大手役員室もカーペットの状態に関しては、決して誉められた状態ではないのに、その理解が全くなく、必要性も感じてもらえませんでした。この状態は少しは改善されたものの、現在でも、世界的にみると大変失礼な言い方になり恐縮ですが、かつてと五十歩百歩です。良いホテルと聞くとなるべく立ち寄ろうとしているのですが、カーペットの状態(合わせて言えば、トイレルームの状態もですが)に関しては、世界の一流ホテルと比べると大きな差があります。

好きで良く京都に行くのですが、京都の庭園、例えば銀閣寺の小道はいつ行っても枯葉一つ落ちていません。あれだけ多くの植物があるにも関わらず・・です。京都の迎賓館で、お客様をお迎えする前日の掃き掃除や枯葉除去の様子をテレビで見たことがありますが、これこそが「おもてなし」と言うもので、日本庭園で、汚れや枯葉一つない様は、来られた方の大きな感動をもたらしていました。

いまはインバウンドといいますか外国からのお客様が増えています。その中には、1泊数万円と言った部屋を当たり前の様に利用する人達も増えているでしょう。各国からの重役や大物が役員室を訪れる事もあるでしょう。その人達が、上記のような、「おもてなし」(チリ一つない小道)を一方で受けながら、カーペットの状態がイマイチだったらどうなりますか?そのアンバランスさに戸惑う事でしょう。

最初の一歩はカーペットには「お掃除」の感性ではなく「メンテナンス」としての理解、合理性、そして実施に強い意欲と意志が必要だと言う事です。カーペットはしっかりしたメンテナンスをすれば、長い間、綺麗で、衛生的で、しかも長く良い状態で保たれたカーペットはそれだけで重厚感があるのです。日本人(私も日本人ですが)がカーペットメンテナンスが上手くない(私が言ったのではありません、私の友人の外人が言ったのです・・)のは歴史的背景があるのかもしれません。次回はそこを書いてみます。