感染防止洗剤の使い方②
さて、感染防止洗剤を使う事になったら、先ず洗剤の選定が必要です。洗剤にはRTU(Ready to use=希釈せずにそのまま使う洗剤)と希釈タイプがありますが、特殊な用途でない限り殆どが薄めて使用するタイプです。EPA登録洗剤ですと米国製ですので、希釈が1:128等日本人には馴染みの薄い希釈倍率になりますので、希釈の際には自動希釈器を使用しましょう。今は安くなりましたし、間違いがなく、簡単です。
ボトルに直接付けるタイプで、 各色それぞれの希釈用です。
据え付け型です
希釈器を使用できない場合は希釈ポンプを使用し、4ℓを一単位にし、1プッシュで1:128、2プッシュで1:64等になります。分からなければ、販売店やメーカーに問い合わせましょう。覚えてしまえば簡単です。
病院では水拭きは不向きだと最初に述べました。最初は水拭き代わりに使う洗剤を選んでしまいましょう。日常的に水拭き代わりに使用し、衛生性と美観を向上させる洗剤です。なるべく幅広い除菌範囲を持っているものが好ましいでしょう。弊社で言えばHDQニュートラルになります。
抗菌スペクトルが広く、1:128稀釈ですので安価です。使用に当たってはノンリンスです。実はここが非常に重要で、病院では特別な場合でない限り、ノンリンスの物を使用しましょう。リンス拭きした布が感染源になってしまう事があるからで、こうした場所では拭きっ切りで洗浄箇所を傷めず、対象微生物を完全不活性化する洗剤が求められているのです。
スプレーして使いますが、霧にしないで下さい。霧を吸い込むと好ましくありません。水鉄砲の様にスプレーし洗剤を塗り拡げ、汚れを除去するイメージで清掃していきます。拭いた箇所がキチンと濡れている事を確認して下さい。シッカリ濡れないと消毒効果がありません。繰り返しますが、そこに汚れが付いており(実際には着いていない事の方が多いのですが、微生物はいますので)それを拭き取るイメージで拭いて行く事が大切です。
環境対応の医療施設や小児病棟では(一般の幼児施設も同じですが)アレルギーの問題もありますので、環境対応の「グリーン中性除菌クリーナー」が良いでしょう。
希釈は1:64ですが、使い方は上記と一緒です。当たり前の事ですが手袋は必須です。前回書いたように、乾いてから安全になる洗剤ですので、濡れている時は触ってはいけません。一般病棟を始め、一般的な手術室など様々な場所に対応します。
その後、さまざまな洗剤を使い分けましょう。除去し難いノロウィルスやC‐ディフなどにはそれ用の洗剤が必要になります。
床や風呂やシャワーはそれぞれに応じた洗剤が良いでしょう。その都度、資材店やメーカーに問い合わせてください。面倒がってはいけません。聞くは一時の恥です。環境消毒をしっかり実践し、作業効率を上げるには、正しい知識を持ち、正しい洗剤を使用し、正しい清掃方法が必要なのです。
参考:HDQの対象微生物