10 pH(水素イオン濃度)について① 「先ず雑感」 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

10 pH(水素イオン濃度)について① 「先ず雑感」

  pHは私の世代ではドイツ語読みのペーハーでしたが、今の世代では英語読みのピーエッチなのでしょう。パーセンテージ・オブ・ハイドロ―ジャン(Hydrogen=水素)、水素イオン濃度の事です。最近は水素イオン指数いう言い方かもしれません。

pHについてですが、この話をすると尽きなくなってしまいます。以前生意気に我が国のこの業界で世界的にプロと認められる人は少ないだろうと書きました。その如実な例がこのpH(水素イオン濃度)の問題で、汚れとpHの問題を論理的に答えられる業界の人がこの日本ではビックリする程少ないのです。逆に汚れとpHについての説明が出来なければ、世界の業界では本社は勿論の事、主任やチーフクラスにすらなれないでしょう。これが分からなければ、洗剤の使い分けは不可能ですし、そうなればプロとしての仕事は不可能です(少なくとも世界では)。

そこで、世界で行われているメンテナンスの世界では、この業界に入ると真っ先に教えられるのが、安全についてと洗剤教育になるのですが、その中心となるのがpH (水素イオン濃度)についての理解と計算方法です。

pHとは水溶液の中に、水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)のどちらがどの位多いかを示す値です。0~14で表され、7が中性で数字が7より少なくなれば酸性、多くなればアルカリ性になります。水素イオンが多くなれば、7より数が少なくなって行き、酸性度が増します。逆に7より増えれば水酸化物イオンが増え、アルカリ度が増すわけです。一単位で濃度が10倍違います。言い方を変えると、濃度を10倍毎に単位を取っているという事です。即ち、pH10とpH11では水酸化物イオンが10倍違う事になります。という事はpH11の水溶液を水で10倍に薄めれば、濃度が10分の1になりますので、pHが10になる訳です。汚れには酸で落ちる汚れとアルカリで落ちる汚れがありますが、それぞれ酸度、アルカリ度を強くすれば汚れ落ちが強くなります。私達の身の回りの汚れの殆どがアルカリで落ちますので、アルカリを例に取れば、ある汚れがpH10で落ちるとすると、その汚れはpH11の洗剤では落ちますし、水で10倍にしても落ちる事が分かる訳です。これさえ覚えてしまえば、あとはラベルに書いてあるpH値を見れば、その洗剤がどの位の汚れに対応できるかが一目で分かる訳です。従って、世界の業務用洗剤にはpH が最も目につく所に記載されているのです。10倍毎に度数が一つずつ移動すると言う簡単な原理で洗剤をコントロール出来るのですから、この原理を覚えない方が非効率的で、従って書いたように、真っ先にこのことを教育するのです。

しかし、残念ながら、我が日本ではその習慣がないのです。私は実際には我が日本のメンテナンスパーソンは教育に対し熱心であると思っています。ビルクリーニング技能士の取得活動も盛んですし(この活動が世間の評価に必ずしも結びついていないのはこのシリーズの最初に書きました。残念な事ですが・・・)、大手・中小でも教育熱心な会社も多いのです。しかし、世界の技術情報の取得が目も当てられないほど疎かにされている為に、本来の教育時間数からすれば、世界に通用するメンテナンスパーソンが溢れていても良いはずなのにそうなっていないのです。

若し、貴方が、メンテナンス会社を雇う立場の方だったら、そしてその会社の技術力に少し疑問を持っていたとしたら、相手に簡単に聞いてみると良いのです。

「pHと汚れの関係を説明してほしい」

答えが論理的かつ納得いけるものであれば、その相手は十分な力量を持っていると考えて大丈夫でしょう。

 

今日のは技術情報ではありません。あくまで雑感です。次回、pHとその考え方についの講習内容を書いていきます。もしかして、また雑感②になってしまうかもしれませんが・・・