さて、汚れを落とすには上記の様に
物理的力(ゴシゴシ擦る)と化学的力(洗剤で落とす)
の二つを上手く組み合わせる事が重要です。これは世界のメンテナンスでも我が日本でも同じです。物理的力は汚れを擦りとる事で、これを発展させる事で機械化に繋がります。しかし、この物理的力の方は見様見真似が効くのです。即ち、現場で他の人や先輩のやる様子をうかがう事で覚える事が出来、いわゆるOn the job training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=働きながら仕事を覚える事)が効きます。しかし、化学的力の方はこの方法が効きにくいのです。洗剤の種類は非常に多く、用途も多種に亘っています。中性洗剤、アルカリ性洗剤、強アルカリ性洗剤、剥離剤、酸性洗剤、除菌洗剤、バイオ洗剤、溶剤・・・等様々です。これらを見様見真似でこなそうとすると大変です。これらを扱うには基礎的な知識を仕入れてしまった方が早いのです。従って、欧米ではこの業界に新人が入ってきた際の教育に、4日あるとするとその半分を洗剤教育に使います。
次の図は我が日本で多くの場合の洗剤の使われ方を示しています。多くの会社が水拭きとアルカリ性万能洗剤の使い分けで、作業をこなしています。
先ず、水拭きでは汚れの80%しか除去出来ません。また、メンテナンス上重要なファインミスト(細かな汚れ)の除去も不可能です(後述します)。微生物の除去も出来ませんので、衛生性向上にも大して貢献しません。特に水拭きではアマチュアと差をつける事が出来ませんので、汚れを落とす際に、プロとしては「どの洗剤を使うべきか?」を真っ先に考えるべきです。
また、アルカリ性万能洗剤は最もポピュラーな洗剤で、良く使われています。殆どの汚れがアルカリ性で落ちる為、汎用性があり、またアルカリ分も強い(pH9~11程度)ので汚れ落ちも良いのです。しかし、この洗剤はワックスも少し溶かすほどの強さですので、場合によっては素材を傷める可能性があります。必ずリンス拭き(水拭きでアルカリを除去する事)が必要です。毎日使用するには手間が掛るのです。
そうしますと、水拭きでは落ちず、アルカリ性万能洗剤では強すぎると言った通常私達が毎日扱うような汚れにはどう対処したらよいのでしょう。この手の汚れに対する対処がうまくいっていない為に、苦労されるケースが良くあるのです。
こうした時に役に立つのが、毎日使え、水拭き不要の日常洗剤(私が命名しているだけですが・・・)です。それぞれの場所や目的に合わせて使用する事で、衛生性向上・美観向上・作業性向上・環境対応・無臭化…など様々な事が可能になり、差別化やプロ化に役立ちます。
ともあれ、洗剤の使用こそプロ化の第一歩です。
次は洗剤についてとその使用方法を述べていきましょう。