世界の情報を取れ!
さて、プロ化を促進し、生産性を向上するにはどうすればよいのでしょう。もし、貴方が会社で突然移動を命じられ、それまで無縁の業種に行く事になり、そこでの生産性向上を求められたらどうしますか?おそらく最初にするのは、自分の現場を精査し、また外の情報を幅広く取り、自分たちの立ち位置と外部との位置関係や特性を掴み、方向性が出るように模索されるでしょう。
その業界がお掃除でしたらどうですか?清掃は人間活動に密接関りを持つ分野であり、少なくとも先進国に住む身であれば、不可欠のものになっています。私達は快適に過ごす必要に迫られており、その為整理・整頓・清潔・清掃はどこでも不可欠なものです。自分達の仕事には既に先人が行ってきた方法があり、それを踏襲すると共に創意工夫を加える事で仕事をこなしてきているというのが現状になっています。
メンテナンス業も御多分に漏れず、先に述べたビルクリーニング技能士の資格を始め、ビルメンテナンス協会も清掃用品や清掃方法のコンクールを行い、入賞者を表彰しています。その他多くのメンテナンス会社も同様の活動をしています。改革・改善は我が日本のお家芸と言っても良く、様々な所でこうした活動が行われているのです。
しかし、それにも関わらず、お客様からみてプロ的に見えないと言うのは、この方法では限界がある事を示しています。情報の取り方に問題があるのです。我が日本は島国である事、世界の共通言語である英語を使用する機会が極端に少ないので世界の情報が入らずガラパゴス化する事が少なくありません。この業界も残念ながら、相当にガラパゴス化しているのです。
厳しい言い方をして恐縮ですが、我が日本のメンテナンス業界で、世界のメンテナンスパーソンと技術論を対等に交わせるのはほんの一握りと言っていいのではないでしょうか?簡単な例を挙げれば、もし貴方が、床を拭いている人を見かけたとします。病院を除けば(場合によっては病院まで)殆どの場合、水拭きです。水拭きでは衛生性や美観上、素人と差をつける事は不可能です。
大手のメンテナンス会社ですら、中性洗剤以外の使用を禁止しているケースが散見されます。トイレ掃除はどうするのでしょう(トイレには酸がひつようですので)?中性洗剤では取れない汚れはどうするのでしょう。時間を掛けて擦ればとれるのでしょうが、生産性の向上はどうなりますか?上記のケースでは恐らく便器内に手をいれて擦る必要が出てきますが、作業者の安全性(血液・体液で感染するブラッドボーン・パソーゲンの問題です)とお客様に対する衛生性(上記と様々な感染症)はどうなりますか?
pH値がどういうものかを即答できますか?pH値と洗剤の関係は洗剤使用にとって不可欠ですが、それについての説明書を日本の業界では見たことがありません。
しかし、これはこの業界の方がいけないのでは決してありません。ただ単に、世界の情報が届いていないだけなのです。世界にはプロが行うお掃除「メンテナンス」の技術が厳然として存在しています。その技術を取り入れる事が最も確実で早い方法だと確信しています。