ワックスの出来方
先週はある機関紙の執筆で忙しくしていました。その間に、北海道の若き社長さんから、ワックス管理に対する質問を受け、資料を調べ直していたのですが、意外な事にワックス形成に対する記事が見当たりません。そこで、ここを利用して書いていきたいと思います。
世の中(日本の事)ではワックスよりもコーティングを志向する向きが増えています。現在のワックスは50年前の発明品で、それ以外のテクニックが要求されている所為でしょう。しかし、私も先日調べてみましたが、床のコーティングはほぼ日本だけの現象で、剥離に無理があるのではないかと思われます。ワックス管理の可能性はもっと奥深いものです。見直されるべきでしょう。
ワックス(樹脂製床維持剤)についてですが、今のワックスは非常によくできており、昔のものは黄ばみが出て、毎年全てを取り去る剥離(はくり)作業が必要だったのですが、今の(特に米国製は)ワックスは10年剥離をしなくても、黄ばみを起こす事はありません。順序が違うようで恐縮ですが、取り敢えず、ワックス形成に付いて今日は書きましょう。
ワックスを床に塗布すると以下の様になります。下にワックスの粒であるポリマーが並びます。
そして、水が乾燥して行くのですが、そうすると水溶液の中の可塑剤(ワックスを溶かす成分)の濃度が上がり、ポリマーに働きかけ、ポリマーが溶けてくっ付き合います。
最後に一枚のフィルムになります。
このようになっているのですが、触手乾燥では(手で触って確かめる事)15分から30分で乾燥するのですが、実際に可塑剤(成分は主にアルコール)が完全に抜けるには1カ月掛かります。
先ず大切なことは、床に向けて扇風機を掛けない事です。強制乾燥は絶対にいけません。結果が同じように見えても、ワックスを長持ちさせようとするならば、被膜の完全形成が不可欠だからです。風を送って早く乾かそうとすれば、可塑剤がポリマーに働きかける時間が短くなってしまう為、煮物に例えれば、生煮えになってしまう可能性があるのです。扇風機を掛けるのであれば、床と平行か上に向けて、空気の対流を促すようにします。
この構造からすると毎月の定期清掃は理屈に合わない事になります。即ち、1カ月掛けて、ワックスが完全に固まった所で、また新しいワックスを塗ってしまう(完全硬化にまた1月掛る)ので、いつも床ワックスが柔らかい状態になっている事になります。この事を念頭に入れ、またワックスの構造(アルカリに弱い事)にも注意しながら、管理する事が重要です。
それに付いては項を変えますが、ワックス管理がうまく行かない最大の理由は日常清掃にあるのです。
これに付いても機会を得て言及する事にしましょう(要するに、何時書くかは分かりませんという事です(m(_ _ )mm(_ _ )m)。