環境リーダーシップ宣言(グリーン講習法)と洗剤の進化 | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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環境リーダーシップ宣言(グリーン講習法)と洗剤の進化

 

環境問題には様々なエポックがあります。私達が関係する洗剤の世界で大きなエポックの一つが1996年に出版された「奪われし未来」です。シーア・コルボーンが3人の共著で書いた書籍ですが、環境ホルモンを問題にしています。環境ホルモンはある種のプラスチックの中に、薄まると私達の内分泌液(ホルモン)と同じような作用を持つ物がある事が分かってきたのです。この物質は25mプールにスポイト1滴の濃度で効いてしまう事から、低濃度でも問題になるのです。また、これらの物資は私達の様な成人した個体には大した影響を持たないのですが、これから分裂して大きくなろうと言う卵や胚には非常に大きな影響を与える事が分かって来ました。即ち、私達が便利に使っている化学物質を放置すると後世の子孫や動物に大きな障害を起こす可能性に言及し彼らの未来を奪う事に警鐘を鳴らしました。この書籍に序文を寄稿したのが当時の副大統領の「アル・ゴア」です。後にブッシュと歴史的な接戦をしながら大統領選に敗れ、あの「不都合な真実」で過大な二酸化炭素排出の危険性を訴え、ノーベル平和賞を受賞した彼です。そこで、時の大統領ビル・クリントンが1998年に出したのが「環境リーダーシップ宣言」です。疑わしい化学物資を禁止するとともに、化学物質は規制よりも国や地方公共団体がリードすべきであるとした法律です。日本ではグリーン購入法として知られています。

この法律が出たために、米国ではここから10~15年で洗剤が劇的に進化したのです。即ち、日本風に言えば官庁物件では環境に良い洗剤しか使えなくなったので、ルールが変わったことから小さな会社にもチャンスが出てきたのです。環境に良い様々な界面活性剤が開発されました。

また、界面活性剤だけでなく、何か他の物との組み合わせ(ハイブリッド)が思考されました。従来の相方だった溶剤は環境問題に逆行するので使えません。バイオは使えますが、衛生性が問題になるところには不向きですので、使用が限定的です。

  日本の主婦は次亜塩素酸(塩素系漂白剤)が好みで良く使用していますが、米国の主婦は過酸化水素ベースの「オキシドール(過酸化水素3%溶液)」が好きなのです。これをチョットした洗浄や消毒に使っています。

 そこで、過酸化水素とのハイブリッド洗剤が一つのブームになります。オキシドールで傷口を消毒すると凄い泡が立つ(すごく痛いのです)のですが、同様に汚れ(有機物)に当たると泡が立ち、分解します。そこで界面活性剤を使用する事で汚れ落ちの幅と効力を上げる仕組みになっているのです。弊社でも「ピロキシー」と言う洗剤を出しているのですが、この洗剤は酸に傾いているのですのですが、上記のような2段の汚れ落としのメカニズムの為、通常の床汚れにも対応します。また、酸に傾いている事から従来のアルカリ性万能洗剤が全く無効だったトイレやお風呂場でも使用できます。1:32稀釈以上では水拭き不要です。床は1:64で使用し、その倍の1:128ではガラスクリーナーとしても使えます。また、ウールセーフを取得していますので、カーペットにも使用できます(耐酸性の無い場所では使用できません)。宣伝色が少し強くなりましたが、こうした新しい洗剤群は使い勝手も良く、概ね環境対応の物が多いので、使うメリットも大きいでしょう。特徴を良く調べて使うことが重要です。