pHについて
洗剤を使用する際に、知識として必須なのがpH(水素イオン濃度)です。この教育が不思議なことに我が日本ではほとんどされていません。欧米ではこの業界に入った際に真っ先に教わる事柄なのです。
私が洗剤の講習をする際には必ずpHの説明をしますが、その説明は昔ネットで得た知識を元にしています。非常にスッキリとした説明で、調べ直しているのですが見つかりません。説明者を記銘するのが礼儀なのでしょうが、出来ないのが残念です。どなたか教えて頂けると助かるのですが。
さて、説明していきましょう。
図の様に水があるとします。水はH2Oと書くのは皆さんご存知の通りですが、H2Oと書くとシッカリ固まったものの様に思われがちですが水と言うのは不思議な性質を持っており、H+とOH-が緩やかに結合したものなのです。そして、図の中に混ざり物がなければH+とOH-の数は等しくなりpHは7になるのです。しかし、現実には私たちの身の回りの水には必ず何か混ざり物があり、それによって、H+が増えたり、OH-が増えたりしま。その濃度がどうなっているかを示すのがpH(ペーハーまたはピーエッチ)なのです(非常にシンプルで分かり易い説明でした)。そして、濃度を10倍ごとに区切っているのです。
濃度を10倍毎に単位を変えるという事は、pH11の洗剤を水で薄めて10倍にすれば、濃度が1/10下がることになるのでpH10になります。それをまた10倍に薄めれば(最初からすれが100倍に薄めれば)pHは9になる訳です。
我々プロ用の洗剤は殆ど薄めて使いますので、これを覚えておくと洗剤が直ぐに使いこなせるようになります。例えば、ワックスの上に付く厄介な靴のゴム底の汚れ(ブラックヒールマークと言います)がpH10程度の汚れと覚えておけば、pH11の洗剤であれば落とすことが出来ますし、10倍程度に薄めても(pH10なので)多分大丈夫だと言う目の子が付くのです。
図の下のpH表の所で、A・B・Cの汚れと矢印が書いてありますが、殆どの汚れがアルカリで落ちる事からアルカリを例にとると、汚れの強さを覚えてしまえば、それに対する洗剤の選択も非常に簡単に出来るわけです。プロ用の洗剤には殆どの場合pHが記載されていますので、どの洗剤がどの汚れに有効なのかが直ぐに判断できるようになります。
ただ洗剤はいつも10倍、100倍と言う区切りの良い希釈ではなく、20倍、50倍などがある訳で(米国製では1:64稀釈などがあります)、ここをどう考えるかと言うと、分数でいってしまいます。例えばpH11の洗剤を水で薄めて50倍にした場合、10倍で一単位下がりpH10になり、残りが5ですので0.5を引きます。そうすると9.5になりますが、about(アバウト)を付けましょう。
約9.5とか9.5程度と言えばいいのです。
他の業界ではいざ知らず建物のメンテナンス上ではこうした理解で充分なのです。
赤マークがpHです