病院・老人ホーム「医療関係」のトイレメンテナンス | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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病院・老人ホーム「医療関係」のトイレメンテナンス

医療関係、特に病院ではトイレメンテナンスは通常のトイレとは異なる注意が必要になります。病院ではバイオ洗剤は不向きだからです。また、病院では抵抗力が非常に落ちた易感染者(いかんせんしゃ)と呼ばれる人がいますので、感染に対する注意が必要になります。
先ず、病院や老人ホームなど医療機関では便器内に手を入れて清掃しては絶対にいけません!勿論医療関係以外の場所も便器に手を入れて清掃する事はよくありませんが、医療関係では特に注意が必要です。2つの意味でいけないのです。
第一に患者に対する衛生性に非常に問題を起こします。一番良い例はノロウィルスでしょう。ノロウィルスは体力の弱った上記易感染者やお年寄りには重篤な事態をもたらします。ノロウィルスは感染力が非常に強いウィルスで、(考え方にもよりますが、)或る意味かつて宮崎県で猛威を振るった口蹄疫よりも感染力が強いと言えるのです。欧米ではseveral(セヴェラル)のウィルスで感染すると言われています。some(サム)が3~4と言う語感で、severalは5~7程度の語感です。小さなウィルスがたった5~7個体入るだけで感染すると言うのですから、感染力は非常に強いのです。因みに口蹄疫は10個体程度で感染すると言われています。
一般細菌よりもずっと小さなウィルスがほんの少しで感染症を引き起こすのですから、トイレに手を入れて清掃していては防ぐことが殆ど不可能と言ってよいでしょう。勿論、便器内で問題になるのはノロウィルスだけではありません。患者や老人ホームの入居者に対する衛生性から言って便器内に手を入れて清掃するのはご法度です。
第二の問題は作業者に対する安全性の問題です。病院清掃をする際に最も注意すべき事項の一つが「Blood-Borne Pathogen(ブラッドボーン・パソーゲン=血液媒介病原菌)」の問題です。血液・体液から感染する感染症で、代表的なものはHIV(エイズ)、HBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)になどです。この感染症は一旦掛ってしまうと完治が困難な事から感染しない事が非常に重要なのですが、便器内側は血液・体液がある場所である事から、そこへ手を入れるという事はたとえ手袋をしてると言っても、良い事とは言えません。手袋がいつも完璧とは限りませんし、手を入れるという事は目も近くなる事から、汚水の撥ねも気に掛ります。作業者の安全性の為にもてをいれて清掃してはいけないのです。
便器に手を入れて清掃するのは先進国では日本だけです。これは日本のメンテナンス界がガラパゴス化している為に起こっている事象なのです。我が日本ではチョットした経緯から酸性洗剤が嫌われた為、便器内に着く尿石を洗剤の力ではなく擦る力で落とすと言いう習慣が不幸にして定着したのです。何度も強調していますが、酸性洗剤を使用すれば、便器内の汚れは簡単に、そして手を入れずに清掃出来るのです。
病院・老人ホームではバイオボウルではなく、スパークリング(塩酸ベース)グリーンレストルームクリーナー(クエン酸ベース)を使用しましょう。両方とも除菌剤配合です。衛生性の向上と消臭効果をもたらします。ガン病棟などで悪臭が問題になる場合にはスパークリングがお薦めです。小児病棟等悪臭や汚れがそれほど気にならない場合はグリーンレストルームクリーナーがお薦めです。
使用器具としてボウルスワッブを使用すれば、便器内に手を入れずに簡単に掃除出来ます。詳しく知りたい方は弊社HPのトイレメンテナンスの動画をご覧ください。バイオボウルでやっている動画と清掃方法は同じですので。

ボウルスワッブとU-キット&スパークリング


セットが収まった様子

スパークリングを使用する場合は塩酸ベースですので少し注意が必要です。強い洗剤ですので、保護具(手袋等)は当然ですが、こぼした場合直ぐ拭き取るなど注意して取り扱いましょう。
また、使用し、30分以上放置してはいけません。便器のガラス質を傷めてしまいますので、必ず水で流しましょう。流し忘れは禁物です。また、酸性洗剤なので塩素系漂白剤の次亜塩素酸ソーダと一緒に使うのは厳禁です。
便器内側以外は通常はNABC(ナバック)を進めていますが、個室の場合は香りの好き嫌いが出るケースがありますので、個室はHDQニュートラル(1:128稀釈)かグリーンニュートラル除菌クリーナー(1:64稀釈)が向くでしょう。両方ともノンリンスですが、便座の表部はリンス拭きして下さい。
衛生性も向上し、悪臭も除去出来るでしょう。