テストで結果を出すために | お掃除とメンテナンスのプロ 矢部要のブログ

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「仕事でお掃除をする方の作業を楽にする事」が使命(ミッション)だと考えています。

 一般の『お掃除』から世界のプロが実践する『メンテナンス』の紹介をしています。

テストで結果を出すために

昨年から、あるビルで、大手ビルマネジメント会社の方と、そのビルの清掃作業を請け負っているこれも大手のメンテナンス会社と弊社の3社で、トイレメンテナンスの時間短縮についてのテストを行っていました。結果が思わしくないとのことでしたので、出かけていきました。詳細なデータが記載されており、弊社の酸性洗剤(バイオボウル)とトイレ用に特化した酸に傾いた中性洗剤(NABC=ナバック)を使用した、あるトイレがそれまでのアルカリ性万能洗剤を使用した時より却って時間が掛っていたのです。

これは理論的にはあり得ないことなのです。
何故なら、トイレで一番厄介な尿石と水垢の除去には酸が必要です。両者ともカルシウム(アルカリ性)が大きく関係しており、そこにアルカリ性洗剤では洗剤としての力が働かないので、ゴシゴシ擦って時間が掛ってしまうという典型的な時間のかかる作業になるからです。

データを見ながら、バイオボウルの使用量が圧倒的に少ない事に気づき、それについて伺った所、本来使う事になっていたトイレ用ブラシ(ボウルスワッブと言います)を使わずに、従来使っていたトイレ用スポンジを使用しているとの事でした。バイオボウルは粘着性がある為、スポンジを使うとスポンジが手で揉まれる事で空気をタップリ含み泡だらけになってしまうため、洗剤の使用量が少しでもタップリ使った気分になってしまうのです。そうすると、バイオに働かせ、その分作業時間を短縮しようという試みが台無しになってしまいます。その点をご指摘し、作業をやり直して頂くことになったのですが、後でこの会社の作業手順を見せて頂いたら、便器内側以外で使用する上記NABC(ナバック)も洗浄箇所に直接スプレーせずに、布に塗布しその布で拭くと言う作業でした。これも洗剤の量が足りません。
その点をご指摘しましたら、恐縮しておられましたが、恐らくご自分達の清掃方法に自信があり、また、うまく行った場合に出来るだけ洗剤の量を押さえられないかと言う試みだったのではないだろうかと想像しました。

テストをやる場合にはまず結果を出すことが重要です。
メンテナンスは微妙で、手順や方法が少し違うだけで結果が出ないという事が良くあります。テスト期間ですので、その間の洗剤は弊社が持ちますので、量を気にせず、まず結果を出し、その後で、気になる様なら量を絞り込むようお願いをしました。
 繰り返します。テストで結果を出すには最初からの創意工夫は厳禁です。まず、メーカーの指示通りに実施し、結果をとにかく出すことに集中すべきです。