メンテナンスのモジュール化③
メンテナンスの世界①
今から30年以上前の事ですが、米国の大手メンテナンス会社で大きな変化が起き始めました。大手の会社がこぞって優秀なMBA(経営管理学修士)を雇い始めたのです。
メンテナンス会社は米国では、米国に来たてで、これから生活を始めようと言う人たちが初めて勤めるケースなどが多く、(場合によっては英語もあまりできない)新人をいかに早く仕立て上げられるかが勝負になることから、ある意味軍隊と構造が似ていると考えられました。優秀な参謀(この場合はMBA)に計画をたてさせた方が競争に勝てるのではないかと考えられたのです。
この連中たちがそれまでの経験則で行っていたお掃除の世界を変えたのです。
彼らによって幾つかの事柄が習慣化されました。
先ず、お掃除を論理的、合理的なものと捉え、ネーミングもクリーニングからメンテナンスと言う言葉に置き換えました。自分達の道筋を合理性のあるものと、内外に示したのです。
競争に勝つための単純な方法として、コストを下げ、クォリティ(品質)を上げる事が模索されますが、メンテナンスコストのターゲットも人件費に絞りました。メンテナンス業では支出の80%~90%が人件費・及びそれに纏わる費用になっているからです。
私も初めて米国へ行った時(30年程前になりますが)以来、彼らが資材費など一切気にせずに、議論を人件費に集中するさまを見て、ビックリしました。彼らは時間を短縮することこそコストカットにつながる事を良く知っていたのです。洗剤の支出は全体の1~3%程度に過ぎず、その他の資機材もよほど大きな機械でなければ、10%を超す事は滅多にありません。それよりも、機械化、合理化をして作業時間を20~30%削減した方がよほど有利であると考えているのです。
長くなるといけないので、次回に続くにしておきます。
注:米国では設備・警備・清掃を全部請け負う日本のような一体型のビルメンテナンス会社はありません。私達がメンテナンス会社と言っている会社は多くがお掃除専門の会社になります。ここでは面倒なので、メンテナンス会社と呼ぶ事にします。