美しい引両 これに決めた! | 江戸手描き友禅「染工房 まいむらさき」のそめいろ日記

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栃木県小山市でそめもの教室の講師をやっています。
染め物のコトや、じんくん(秋田犬)のコト、歴史、芸術、美術、日々の色々を綴っていきます。

染師・まいまいです


只今、上杉謙信の陣幕制作プロジェクト始動中です

私が幕の文様を染めます




描かれた引両(ひきりょう・二本線のこと)を調べたときのこと・・・

ぱっと、バランスが良く美しい引両が目に留まりました



しかも、上杉軍の軍旗に引両が使われいる

これぞ私の探していたものです

私みたいな素人の探し方では、
上杉軍の引両、ドラマで見たことがあっても、昔の絵だとなかなか見当たらない






「引両・ひきりょう」とは何のことか

この文様は足利家・足利将軍にまつわる文様です

ご存じ、家紋の「丸に二引き(引両のこと)」は足利家のマークですからね


足利将軍家の身内はもちろん、将軍から「使っていいよ。」って許可をもらったなど、
将軍と関係あるひとが使っていた文様です



謙信公は将軍である足利義輝と仲良しでしたしね

あ、あと、資料館の方に教えてもらったのですが、
足利尊氏のお母さんは上杉家の人なんだそうですよ

(謙信公はもともと長尾家の人なので
謙信公のDNAとは関係ない?ようですけど)




これはまさしく、上杉笹の紋
この上杉軍ののぼり旗、貴重です





川中島合戦から約150年後に描かれた絵なので、
真実とはちょっと違うかもしれませんね

だけど、この絵、数ある川中島合戦図屏風の中で、古い部類の絵なのだとか

他の川中島合戦図屏風を見ていくと、この絵を手本にしたのでは?と感じる、
構図や軍旗のデザインがありました


だって、やっぱり私もお手本にしたいですもの

他の合戦図に比べ、ものを描く力、画力が圧倒的に優れています

日本に遠近法が無いこの時代、なんとなく遠近法を感じる描き方してますよ
後方で倒れている矢盾、逆パースですが、遠近感があり、地に着いている安定感があります

武田信玄の座りぐあいも、どっしり安定しています

ふわっと風をとらえる陣幕、流れ旗、布の柔らかさ、質感が伝わってきます




これに決めた
この屏風の引両を手本にします




武田軍の陣幕には引両が結構描かれていますよ



川中島合戦図屏風

ミュージアム中山道 蔵

土佐光成 筆

推定制作年代
1696~1710年



土佐光成先生、ありがとうございましたアップ




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