このお話は、私の5歳上の兄が
当時小学校1年生だった頃のエピソードです。
私と兄は両親が働いていた東京で生まれ
しばらく親子4人で暮らしていました。
しかし兄が7歳の頃祖父が倒れてしまい
長男だった父親が西の方にある実家に帰る形で
父の地元に暮らすことになりました。
当時私は2歳。母は福島生まれで
友達は0人。そんな中
兄がいじめられていることが発覚しました。
パンダ兄 7歳 小学1年生
健吾くん 7歳 パンダ兄と同級生
健吾くんの兄 9歳 小学3年生
健吾兄弟の母 高校教師
父親(夫)は何も言わない人だそうだ。
伊藤先生 パンダ兄の担任の先生
拓郎先生:健吾兄の担任の先生
山本さん:見た目は少しぶっきらぼうそうな印象だが
話すと優しい。5歳・7歳・9歳の男の子の母
小学校の PTA会長をしていて
自営業もされている。
本田さん:パンダ兄と同じクラスに、みゆきちゃん
というお嬢さんがいる。
東京からパンダ兄が
地方に引っ越してきてたった数ヶ月で
健吾兄くんのこと、健吾兄の母のこと
色々あった小学1年生の時期。
なんだかんだであっという間に過ぎて
やはり子供というのはすごいもので
パンダ兄もいつの間にか
近所にお友達が出来て
元気に学校に行けるようになった。
時代的なことや地域的なことで
とにかく地元の行事も多かったので
パンダ母はその行事のお手伝いにも
積極的に参加した。
そして、パンダ兄も2年生になり
3年生になってクラス替えもあったりして
もうすっかり健吾兄とのことも
忘れかけていた時
パンダ兄は1人、悩みを抱えていた。
この時、母は何も知らなかった。
◆
小学校3年生の夏休み。
うちの地域では、
それぞれの区ごとに班が作られていて
海に行ったり、子供会をしたり
大人は交流会をしたりと
それはそれは集まりが多かった。
子供心にはすごく楽しかったが
きっと準備する大人たちは
本当に大変だっただろう。
その日は、近くの海に皆で
日帰りキャンプに行っていた。
本田さん
「ねぇパンダさん。
みゆきから聞いたんだけど・・・
パンダ兄くん、大丈夫?」
キャンプ場で洗い物をしていると
本田さんがパンダ母に話しかけてきた。
目線の先ではパンダ兄が
近所の仲良し男子たちと遊んでいる。
パンダ母
「え?、、大丈夫って、、何が?」
本田さん
「・・ごめん、もしかして何も
聞いてなかったかな・・」
パンダ母
「・・一体何のことかさっぱり・・」
困るパンダ母に、本田さんも困り顔で
話しにくそうに、話してくれた。
本田さん
「最近健吾くんが…パンダ兄くんに対して
結構ひどいことを言ってるみたいで。。」
パンダ母
「ひどいこと・・?」
本田さん
「そう、、しかも
みんながいるところじゃなくて
全然誰もいないところとか
そういうところみたいで」
パンダ母
「そうなの?今度は健吾くん?
一体なんで、、」
本田さん
「1度みゆきが健吾くんに夏休み前に
そういうのやめなよって
言ったことがあるみたいなんだけど
そんなの証拠もないのにうるさい!
って言われたらしくて
先生に言おうと思ったみたいだけど
パンダ兄くんのお母さんが
先生に言うのかなって思って
ひとまずまだ、話してないみたい。
ごめんね、私から告げ口したみたいに
なっちゃったね・・・」
パンダ母
「いや、そんなことない。
教えてくれてありがとう・・
・・知らなかった、、」
パンダ母と本田さんは
目線の先の子供達を見つめる。
パンダ母
「言わないようにしてるのかな、、
それともあえて、隠してるのかな・・」
本田さん
「・・ね、、、」
2年前、実は健吾兄より
健吾くんの方が気になっていた。
それは健吾兄の母があまりにも
健吾兄くんのことばかり
気にかけていたので
そのことを健吾くんはどう思っているのか
どんな気持ちなのか、心配だったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー