転校したばかりの小学1年生だった兄。
その兄の通学カバンが
日に日に汚れていった理由。
それは2学年上の3年生の男子を含む
3人の子供達と
カバン持ちゲームをさせられ
毎回必ず負けて、4つのカバンを持ち
さらには自分のカバンは、
皆に踏まれていたと。
パンダ母
「じゃああの汚れは・・
帰りの田んぼで遊んでたからじゃなくて
故意に踏まれてた、、
と言うことなんですね、、、」
母は、涙が出そうだった。
まだ1年生の兄が、慣れない土地に来て
そんな目に遭ってたなんて。
パンダ母
「どうして息子がそんな、、」
伊藤先生
「その3年生たちには
標準語で、気持ち悪いって
言われていたそうです。」
この話は、私の兄の7歳の頃の話なので
もう40年も前のこと。
当時は田舎に標準語の子供や
海外の人などがいたら珍しくて
隣のクラスからも、どの子どの子?と
見学に来てしまうような時代。
パンダ母
「たったそれだけのことで・・・」
悲しいのではない。パンダ母は、
怒りと悔しさの方が込み上げていた。
伊藤先生
「本当に申し訳ありません。
それで今日のところは
パンダ兄君がその子たちと
一緒に帰らないようにしたくて
別の子に声をかけて
一緒に帰ってあげてと言ったんですが
それじゃあ根本的な解決にはならないので
3年生の子達には
本人たちに注意したいと思っていますが
一応その前にお母さんに
ご意見を伺っておきたいと思いまして、、」
当時は今のように、モンスターペアレンツ
みたいな言葉もなかったので
先生の判断で、その親に連絡したり
話合わせたりすることは
間々あったようだ。
パンダ母
「…そうですね、、先生の注意だけで
その行為をやめてくれるなら
おおごとにしたいわけではないので
まずはその3年生の男子たちに
話をして欲しいです。
ただ、、息子が告げ口したとか
そんな風には言わないでください。
だって息子は本当に1度もまだ
誰にも相談してないので・・・
私から相手の親にまでとなると
まだ私も知り合いがいないものですから
周りに広まるのも困りますし・・」
伊藤先生
「そうですか、わかりました。
うちの学校でも、道徳の授業で散々
いじめ問題について
話して聞かせてるんですけどね・・・」
パンダ母
「息子が自分から、話してくれるのが
一番いいんですけどね・・・」
伊藤先生
「パンダ兄くんは、本当に優しい子なので
多分お母さんに、
心配かけたくないんでしょうね・・・
とにかくこちらでもすぐに
対応しますから。」
そんな話をして、その日は終わった。
夜にパンダ母は兄に向かって
「ねぇ、学校どう?」
と聞いてみたが
「うん、まぁまぁかな」
と答えるだけだったそうだ。
◆
それから1週間。
毎日カバンの汚れを確認する母。
あれから1度も汚れていない。
あぁ、先生がちゃんと話して
言い聞かせてくれたんだ。
そう思いながら、
翌日の準備をしようと思い
パンダ兄のカバンを開けた。
するとカバンの中に
カビたコッペパンが入っていた。
パンダ母
「ねえお兄ちゃん。これなぁに?
給食のコッペパン残して
数日持って帰るの忘れちゃったの?」
パンダ兄
「うん、そうなんだ。
机の奥の方に入ってて、
忘れてたんだ。」
もちろん嘘だった。
先生に注意されたことで
表面的なイジメはおさまったが
今度はこうしてまた、
先生の見えないところで
兄への嫌がらせが始まっていたのに
カバンを踏まれていたことも含めて
この時もまだ兄は1度も親にヘルプを
出したことがなかった。
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