登場人物 (前職の会社の同期たち)

 

このお話の始まりはこちら。

前の職場の同僚が、調停中だった①

 

パンダ…私。

藤木くん…20代で独立して、すぐにその事業で成功する。

     現在も仕事はとても順調。現在奥さんと離婚調停中。

     2人の子供がいる。

ZくんとYくん…同期の男子

Aちゃん…同期の女子

 

 

 

藤木くんは、1人語りのように

口数の少なくなったシッターさんに

気持ちを伝えた。

 

 

 

藤木くん 

「でももしかしたら妻は、

 シッターさんには、、僕の

 有る事無い事を

 話しているんじゃ 

 ないでしょうか・・・」

 

 

 

シッターさん「・・・」

 

 

 

藤木くん

「もしそうなら、、

 誤解されたまま今後

 子供達のことを見ていただくのは

 申し訳ないなって思ってます・・

 

 これから僕は、、

 

 妻とは揉めることに

 なってしまうと思います・・

 

 ですが子供達はなるべく

 巻き込みたくないので

 いつも子供達に笑顔で

 接してくださるシッターさんには

 変わらずこのまま

 見てもらいたいんです。」

 

 

 

シッターさん

「そう言ってもらえて

 ありがとうございます。

 私も2人のことが大好きですから

 これからもしっかりと

 見させていただきます。」

 

 

 

藤木くん

「えっ、そうですか!!

 

 それはありがとうございます!!」

 

 

 

するとシッターさんが

ぽつりぽつりと話し始める。

 

 

 

 

シッターさん

「この仕事をしていると 

 いろんなご自宅に伺うので

 それぞれのご家庭の事情は

 様々です。

 

 何かある場合は

 お子さんがある程度の年齢なれば

 わかるようになります。」

 

 

 

藤木くん

「それは、、子供が先生に

 話すんですか?」

 

 

 

シッターさん

「それももちろんありますが

 表情とか、甘え方とかを見てると 

 なんとなく感じます。

 

 藤木さんのお子さんは

 まだ小さいので

 何か言葉で伝えることは

 ないんですけど、、

 

 今日、お父様といるお子様を見て

 なんとなくわかりました。

 

 お父様がこのお子様たちのことを

 どれだけ愛しているか。」

 

 

 

 

藤木くん

「えっ、、、」

 

 

 

その眼差しが、母親のようだった。

 

 

 

 

藤木くん

「うっ・・・うぅ・・

 

 

 あっ、すいません、、なんか・・

 ちょっと、失礼します。」

 

 

 

 

自分でも思わぬところで

涙が溢れてきてしまい

藤木くんは一旦、寝室に戻った。

 

 

 

妻とは別れたい。

 

妻の不倫なんて知っても

もうどうでもいい。

 

むしろ離婚を進めるための

大きな証拠になる、と

心底思っているはずだが

 

それでもやっぱりずっと

自分の結婚生活って

なんだったんだろうという

虚しさはあった。

 

 

 

 

藤木くんはふと、携帯を見る。

 

 

 

尾行が始まった後、

一旦仕事に集中しようと思って

携帯を見てなかった。

 

 

 

 

探偵さんLINE

「自宅を出た後、奥さんは

 ジムに入りました。」

 

 

それから1時間後

 

 

探偵さんLINE

「入り口に張り込んでますが

 まだ出てくる気配がないです。」

 

 

 

さらに1時間後

「出てきて、近所のカフェで

 1人でパスタを食べています。

 

 その間ずっと

 イヤフォンをして携帯を見てます。」

 

 

 

 

そんな感じで今日は、

奥さんの方の動きはない。

 

 

さすがに毎日男に

会ったりしてるわけじゃないのか。

 

 

とはいえ、日々

シッターさんに子供を預けっぱなしで

外で男と会うか

ジムに通い、ランチを食べ

自分の好きなことをして

過ごしていたわけだ。

 

 

藤木くんは、フーッと息を吐くと

顔をパンっと叩いてまた

シッターさんのいる

リビングに戻った。

 

 

 

藤木くん

「あの、先ほどはすみません。

 お見苦しいところをお見せして、、」

 

 

 

シッターさん

「・・いえ、、あの、、

 

 お子さんたちはちゃんと

 親を見ていますから。」

 

 

 

 

やはりシッターさんはそれ以上

奥さんのことについて

言及することはなかった。

 

 

 

でも確かに

(そういえば、ご主人のこと

 愚痴ってましたよ)

なんて言うシッターさんがいたら

それはそれは、大変なことになる。

 

 

 

このシッターさんの対応は

間違いなかったようだ。

 

 

 

 

それから藤木くんはまた

仕事のために部屋に戻り

ひとまずもう1度、携帯をチラリと見た。

 

 

 

 

 

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