登場人物
●小林成美：５歳の息子さん（ハルキくん）がいる。夫のモラハラに一人悩み、苦しんでいたが、ジェシカさんのホームパーティーで、皆が知ることになる。
●成美さんの両親：娘である成美さんと孫のハルキくんを愛し、なんとか幸せになってもらいたいと願っている。
● 小林瑛太：成美さんの夫で、ジェシカのビジネスパートナー。モラハラ男でマザコン、不倫男だった。
●瑛太の母：瑛太の言うことと、自分の考えが絶対の義母。江戸っ子気質の実兄がいる。名前は千代と言う。
●瑛太の父：もう何年も前から、家族とはあまり話をせず、家では自室に引きこもり状態。本当は妻と別れたいとも思っていた。
ハルキくんの特性に気付いたのは
瑛太の不倫がわかり、
その後の瑛太や義母の対応を見て
徐々にだと、成美さんは言っていた。
結果的にハルキくんは
専門の先生に診ていただいた中で
支援級に入ったり
これという診断名をつけるほどではない
という判断だったようだが
軽いアスペルガーの可能性が
あるかもしれないということだった。
ベテラン担任先生
「お母さん。ハルキくんは、
こだわりは多少ありますけど
学校生活の中でのコミュニケーションに
大きな影響があるようには思いません。
この辺りのことは、
診断名があってもなくても
子供たちは
日々の学校生活の中でどうしても
言ってはいけないこと
言われて傷ついてしまうこと
に、遭遇します。
だからどんな子であれ、
私たち大人は、子供の言葉と心に
丁寧に1つずつ
向き合わないといけないんです。」
成美さんは、先生のこの言葉をずっと
支えにしてきた。
診断名があってもなくても、
大人は子供に、向き合わないといけない。
瑛太はきっとあの母親に、
何を言ったらいけないとか
人はこう言われたら傷つくという躾を
されてこなかったと思う。
だから大人になっても
自分の行動や発言のおかしさを
今更周りに指摘されても、
気がつかないのだと思う。
瑛太のようにはさせない。
成美さんは、強くそう思った。
◆
そういえば瑛太の仕事について
CEOの電話から３ヶ月後
プロジェクトが終わり、
しっかり解雇になった。
日本の企業であれば
難しいことだったかもしれないが
外資はシビアで、
会社に迷惑や損害を与えた場合の規約も
ちゃんと作られていた。
成美さんへの慰謝料が
分割になっていたのは
その後の転職活動が
簡単ではなかったからで
結局瑛太は、
以前の会社で通じた知り合いの伝手で
同じような業界に就職を決めた。
義母と義父はまだ、離婚していない。
けれど結局義母は瑛太のところに
転がり込むような形で
一緒に生活しているのだと
あとで義父から聞いた。
そしてついに、
瑛太からの慰謝料の支払いが終わり、
成美さんは、離婚届を提出した。
不倫が発覚してから実に
1年以上の歳月が流れていた。
そんな中、
瑛太から弁護士を通じて
「ハルキに会いたい」
と、連絡がきた。
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